わたしが【教員を辞めた】6つの理由
ついこの前まで、ある公立高校で教諭として働いていました。
大学卒業後から そこで勤めた3年間は、わたしに さまざまなことを教えてくれました。
今回は、その中でも とくに教員を辞めたいと考えるようになったきっかけについて、6つの理由を紹介します。
初任者のときに退職を決めた
わたしは、初任者教諭になった4月から「教員を辞めたい」と思うようになりました。
初めのころは、
「せっかく大卒で教員採用試験に合格したんだから続けようよ」
という自分と、
「感覚が合わない職場だし、楽しくないことをするなんて時間のムダだよ」
という自分がせめぎ合っていました。
このころ、そうした思いを両親や友人に相談した覚えがあります。
そのおかげで、初任者教諭として迎えた初めての夏休みには
「社会人1年目は、だれもが辞めたくなるもの。3年間は続けてみよう。」
という気持ちになりました。
その後、次の6つの理由によって、再び「教員なんて今すぐに辞めたい」と強く思うようになったため、初任者のときに3年で辞める決意をしました。
わたしが退職した理由
では、なぜ初任者教諭ながら、退職を決意したのか……。
理由は、次の6つです。
- 勤務時間内で終わらないため。
- 教員どうしで足の引っ張り合いをしているため。
- 部活動などの課外活動は、低賃金労働のため。
- 今まで以上に業務量が増えることが予想されるため。
- 変形労働時間制の導入が見込まれるため。
- 給与制度などに年功序列が残っているため。
勤務時間内で終わらないため
学校の先生は、勤務時間以外の仕事、いわゆるタダ働きをよくします。
学校によっては違いますが、次のようなものはタダ働きの代表です。
- 教材研究
- テストの採点
- 部活動の朝練習や夜練習
- 勤務時間を超えた会議
- 勤務時間を超えた保護者対応
- 勤務時間を超えた受験指導
- 最終下校時刻後から始める施錠当番
- 土曜講座や補習授業
結果的に、タダ働きさせられ、公務員だからと、いいように使われているように感じました。
とくに、初任者教諭として勤めた4月から夏休みまでの期間は、初めて目の当たりにした悪しき現状に驚き、ひどく落胆しました。
17時に勤務時間は終わるというのに、17時から急に会議が開かれることになったこともあります。
「何考えてんだ?頭、狂ってるわ」
そう考えたわたしは、会議に出席せずに 帰ることがよくありました。
そのため、管理職には目を付けられていました。
初任者教諭として見れば、常識はずれで、ありえなかったのかもしれません。
また、下校時刻後の保護者対応のように、どう考えても勤務時間を超えてやらなければならないものもありました。
わたしには、それが当たり前だというように仕事をする先輩の先生方が不思議で仕方ありませんでした。
そのため、初任者教諭ながら、定時に帰ることができない教員という職に不信感を抱くようになりました。
裏を返せば、その覚悟がわたしにはなかったということです。
朝早くから夜遅くまで、タダで働くことが当たり前という感覚にはなれなかったのです。
自分を犠牲にしてまで、公務員を続ける理由は見つかりませんでした。
教員どうしで足の引っ張り合いをしているため
業務量が多いとは言え、わたしは初任者として勤めていた秋以降、定時に退勤していました。
家は学校から10分のところに借りたので、17時に退勤して すぐ自分の時間に切り替えることができました。
居残り仕事をされるベテランの先生方には、嫌みっぽく
「今日も帰りが早いね」
と言われることが しばしばありました。
私から言わせれば、
「なぜ早く帰って自分磨きに使わないのだろう」
という話なだけです。
嫌みを言っている暇があったら、さっさと仕事をすればいいのです。
ただ、わたしのように、居残り仕事をしたくない先生も もちろんいました。
そうした先生は、イライラしながら、あるいは、ため息をつきながら仕事をされていました。
こうした状況になる 多くの原因は、「おしゃべり」です。
ペチャクチャペチャクチャと、いつまでもおしゃべりしています。
たいてい、長々とおしゃべりをし始めるのは、遅くまで居残り仕事をする先生です。
その先生に話しかけられると、空きコマは潰れます。
つまり、仕事が進まず、定時に帰ることが難しくなるということです。
先生方は、知らず知らずのうちに足の引っ張り合いをしているということがあります。
わたしも、仕事と関係のない話を 先輩教員から1時間近く聞かされたことがあります。
ただ、わたしの場合は、パソコン作業をしながら相槌を打っていただけで、内容はあまり聞いていませんでした。
それでも、話しきった先輩教員は満足されたようです。
この感覚は、わたしには分かりません。
話すよりも前に、さっさと仕事をして、早く帰ったらいいのではないでしょうか。
業務量が多いと言われるのは、勤務時間内にあまり仕事をしていない先生や、作業効率の悪い先生なのだろうと思っています。
部活動などの課外活動は、低賃金労働のため
課外活動の代表として、部活動が挙げられます。
昨今、教員の負担を減らすために、さまざまな取り組みが行われています。
しかし、そもそも部活動で、いくらもらえるか ご存知ですか?
一般的な飲食店で働くアルバイトの方が 時給は高いですよ。
これも学校によって異なりますが、わたしが勤務していた学校を例に伝えます。
授業がある日(平日)の放課後に行う部活動は、時給500円でした。
最低賃金を下回っていますが、だれも文句を言いません。
文句を言わないことに対して、わたしは「感覚が異常だ」と思いました。
こう思ったのは、部活動の顧問になるか、ならないかの選択の余地すらなかったからです。
すべての正規教員・常勤講師が 強制的に部活動の顧問に割り当てられるのです。
わたし以外の教員も、やりたくない部活動を押し付けられ、通常業務がその影響を受けてしまっていました。
まず優先させるべき通常業務が部活動で滞ってしまうのは、元も子もないように感じました。
かつ時給も低い……。
低いと言っても、これ以上に低い時間外活動があるのです。
アルバイトの場合、休日出勤であれば、ふつう給与は何%か上乗せして払われます。
しかし、休日に行う課外活動の多くは、賃金が支払われたとしても、額がかなり低いです。
わたしが勤めていた当時、休日の部活動は、4時間で3,600円でした。
ただ、3時間の場合は、もらえる給与は0円でした。
ありえないですよね。
働いているのに、給与や手当ては出してもらえないのです。
さらに、4時間で3,600円というのは、4時間以上8時間未満の場合にも適応されます。
早い話が、1日中(朝8時半から夕方4時まで)かけて部活動をしたところで、支払われる給与は3,600円ということです。
実働7時間半のとき、時給に換算すると、たったの480円です。
学校の往復にかかる交通費は、とくに別途支給されることがないため、この3,600円から出さねばなりません。
知り合いの先生は、高速道路を利用して通勤されていたため、帰りは一般道を利用したとしても、交通費で給与が相殺され、0円になってしまうと言っていました。
そのため、教員によっては、部活動をボランティアのように行っているのが現状です。
これを初めて知ったときは、驚きを隠せませんでした。
さらに、わたしが勤務していた学校では、「時間外授業」を独自で行っていました。
この時間外授業での報酬は、休日の部活動以上に微々たるものでした。
4時間授業をして、支払ってもらえるのは たったの1,500円・・・。
時給に換算すると、なんと375円!
最低賃金をかなり下回る額で、初めて 報酬金を受け取ったときは、なにかの間違いだと疑っていました。
しかし、学校によっては、先生方の善意で時間外授業を行っているところもあります。
まわりの先生方が言うには、公務員だから仕方がないのだそうです。
わたしは、この話を聞いた時点で、公務員という職は、全体の奉仕者であるがゆえに、ライフワークバランスなんて考える余地はないのだと感じました。
ワーク、ワーク、ワークです。
ひたすら仕事です。
今以上に業務量が増えることが予想されるため
新しい大学入試制度や新学習指導要領により、業務量が今まで以上に増えることが予想されます。
小学校では、英語教育ができる教員が少ない中、英語が必修化され、現場は悲鳴をあげています。
高等学校では、大学入試の制度が変わるということで、その対策・対応に追われているのが現状です。
授業に全力を注ぐことなんてできない状態なのです。
変形労働時間制の導入が見込まれるため
個人的に、教育現場を本気で改善する気がないことが明らかになったように思います。
教員を苦しめる制度が導入できるようになってしまうため、わたしが辞めることを後押ししているように思いました。
家庭がある人にとって、学校に拘束される時間が延びるのは困ります。
かといって、年次有給休暇の日数は決まっており、ムダに休むことはできません。
この変形労働時間制が導入されてしまっては、どうしようもない訳です。
情報伝達や給与制度などに年功序列が残っているため
年齢を重ねれば給与の額が大きくなる……。
時代遅れもいいところです。
若手でも有能な教諭がいます。
立派に担任業務を遂行されている方がいます。
実力のある教員こそ、もっと多く給与を出すべきです。
何号何級で定めたものを変えられないなら、担任手当などの新しい手当を導入してはいかがでしょうか。
担任業務と副担任業務では雲泥の差があるにも関わらず、同期で給与が同じというのが現状です。
わたしは教員を辞めたかったので、担任をやるだけ、働き損だと思い、やりませんでした。
クラス担任は、仕事量が給与に見合っていると到底 思えません。
わたしは、管理職に何度かお願いされましたが、3年間 担任を断り続けました。
給与を多くもらっているベテランがやればいいのです。
学校現場を変えよう
ここまでが、わたしが退職した大きな理由です。
ただ、これ以上に、先生方が「働きにくい」「生きづらい」と感じる今の学校現場を 改善したいと考えるようになりました。
わたしが校長なら、もっとホワイトな学校にするのになと思っているからです。
ただ、公立学校で校長になるには、ほかの校長からの推薦や試験など、これまた面倒くさい制度があります。
だから、学校という場は閉鎖的で、視野の狭い教員しか育たなくなってしまうのです。
世界全体を見て、先輩教員にも多くを語れる若い教員を育てたいですね。
学校に限らず、公的機関は、今すぐボトムアップ型に変わるべきです。
そのためには、若手がこうして考えを発する力が必要だと考えます。
若い力で行動あるのみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。