教育実習【授業】ポイント3つ押さえればOK
これから教育実習を迎えられる方にとって、もっともハードルが高いのは「授業」なのではありませんか?
今回は、教育実習の授業をクリアするためのポイントを3つ、お伝えします。
この記事で分かること
・教育実習生は授業に集中すればいいこと
・授業では堂々としていること
・授業の展開をイメージしておくこと
教育実習で磨くべきは授業
学校の先生は、ふだん、数多くの業務をこなされています。
教科指導、学級経営、生徒指導、進路指導、部活動、分掌業務、保護者対応・・・。
挙げようとしても、キリがありません。
しかし、教育実習生に任せられるのは、教科指導、学級経営、部活動くらいです。
実習生は、職員会議に参加しませんし、やることは限られています。
教員が行う業務については、次の記事にくわしく書かせていただいております。
教員になる前に、一度ご覧ください。
これは裏を返せば、実習生だから、正規教員よりも やるべきことが少ないとも言えます。
個人的な感覚からすると、実習生の仕事量は、正規教員の10分の1程度です。
しかも、実習期間は、たった2~4週間です。短いですよ。
通常業務がある正規教員よりも、実習生にはかなり時間的な余裕があります。
日々のレポートや学習指導案の提出を早めに終わらせて、授業研究に割く時間を長くとりましょう。
授業の質を高めたいなら
ここでポイントになるのは、時間の使い方です。
いつ教材研究をし、いつまでに学習指導案を提出するのか、スケジュールを立てましょう。
そして、授業のクオリティを高めるためには、何をどれだけ準備すればよいのか、考えて動く必要があります。
授業については、ときどき、自己満足で終わられる教育実習生がいます。
しかし、授業を受けるのは子どもたちです。
「これくらいでいいや」では済まされません。
子どもに与える教育が、将来、どのような影響をもたらすのか考えて授業準備を行いましょう。
そうしたことを考えることを踏まえて、時間を有意義に使う必要があります。
実習先が中学校や高校の場合は、教科別担当で授業を行うので、常に参観をしなければならないということはありません。
自分で空き時間を設定することができます。
空き時間があれば、レポートを作成したり、ほかの大学生と話したりする余裕もできます。
ただし、1日に2時間を超えて空き時間をつくると、サボっていると思われてしまいますので気をつけてください。
個人的な見解としては、研究授業が近いときだけ、1日に2時間を超えてもよいと考えます。
研究授業であなたの本気の授業を見たいですからね。
その準備・教材研究をするための空き時間なら、多めにセッティングしてOKです。
小学校の実習は大変
もし、小学校で教育実習されるのであれば、空き時間はほとんどありません。
そのため、中学校や高校に比べて、つねに動いているイメージがあります。
休み時間も児童といっしょになって遊ばなければならず、本当に大変です。
もちろん、授業でも大変なことがあります。
話す言葉が通じないことです。
「小さい子どもは、宇宙人のようだ」
と、ときどき言われますが、このたとえのように、大人が日ごろ使う難しい言葉は、なかなか理解してもらえません。
とくに、小学3年生以下の児童に対して話すときは、言葉を選ぶのに苦労します。
国語や算数をはじめ、どの教科であっても、難しい言葉を使うと、子どもは授業内容を理解することができないからです。
つまり、難しい言葉は、かんたんな言葉に言い換える必要があるのです。
たとえば、
「理解できた人は挙手してください。」
という言葉がありますが、小学4年生でやっと分かるくらいでしょう。
低学年の児童を相手に話すときは、
「わかった人は、手を挙げてください。」
と言いつつ、自分も手を挙げて示せば、伝わりやすいです。
小学生の子どもと話すときは、漢字の言葉をかみ砕いて、ひらがなで説明するように心がけると、伝わりやすいですよ。
これに加えて、ジェスチャーや実際の動きを見せることで、より理解してくれやすくなります。
ここまで見てきたように、教員のメインの業務は「授業」です。
しかも、子どもたちにとって、分かりやすい授業をしなければいけません。
だから、教育実習生も、子どもにとって最高の授業ができるように努力すればよいのです。
繰り返しになりますが、最高の授業をするためには、十分に時間をかけて、教材研究をしておくことにつきます。
実習生どうしで、模擬授業をしてもいいかもしれません。
教育実習生も、「先生」である
わたしは、公立学校で教諭をしていたことがあります。
そのとき、教育実習生の指導を担当したこともあるのですが、
「実習生は、学生だな…」
と多くの場面で 感じました。
とくに、教育実習生が全校生徒の前であいさつする場面です。
毎年のように実習生は、あることを言っていました。
「みなさんと一緒に、短い学校生活を楽しもうと思います。」
―― あなたは、まだ学生なの?
と、職員室で話題になったことがあります。
さらに、ある年の実習生は、「先生としての自覚が足りん!」と、担当教諭に叱られていました。
教育実習中であっても、実習生としてではなく、教員として 学校生活を送るべきです。
ちなみに、あなたの身だしなみは、「教員」として恥ずかしくないですか?
参考までに、次の記事をお読みください。
子どもは、先生である あなたのことを、常に見ています。
服装もそうですし、些細な言動も細かくチェックされていると思っておいたほうがよいでしょう。
子どもたちは、とても正直な性格の持ち主です。
イヤなことはイヤと態度に現れますし、良いと思ったことは、とことんやり抜きます。
これを逆手に取れば、服装や言動に気をつけるだけで、自然と 子どもたちの信頼を得ることができます。
そうして、あなたを「先生」として見てくれるようになれば、授業にも前向きに取り組んでくれます。
ただし、子どもに認められるには、それなりの努力と根気が必要です。
実習生レベルでの「授業」のコツ
初めに断っておきますが、教育実習生の中には、ずば抜けて授業がうまい人もいれば、そうではない人もいます。
たとえ、授業がうまくできなかったとしても、気にしないことです。
まわりの人はまわりの人で頑張っていることでしょうし、あなたは、あなた自身でやれることをやり切ればいいのです。
また、授業がうまくできなかった原因が、「あなた」ではないこともあります。
教科担当の先生のアドバイスが悪いこともありますし、偶然、子どもたちが集中してくれないときもあります。
ただし、ベテランの先生のように、高いクオリティの授業にするのは、数週間では難しいと思ったほうがよいでしょう。
だから、教育実習生のレベルで、どこまで授業(教材)や、子どもと向き合えるかが重要なのです。
多くの先生が、教育実習生の授業で求めるのは、次の3つだと わたしは考えます。
1.正しいことを、正しい言葉で伝えること。
2.わかりやすい授業にしようと努力すること。
3.子どものことを よくみること。
では、ひとつずつ見ていきましょう。
正しいことを、正しい言葉で伝えること
かんたんそうに思えて、意外と難しいポイントです。
まずは、何が正しいのか、あなた自身で考える必要があります。
そして、それが正しいのだと、相手に正しく伝えられればOKということです。
「正しく伝える」というのは、あなたが意図する内容を、そっくりそのまま 相手が捉えることをさします。
もちろん、正しく伝えるためには、言葉選びが肝心になってきます。
だから、「正しい言葉で」伝えることも重要なポイントなのです。
授業であっても、子どもに誤解を招く言い方をするのは、避けなければなりません。
迷ったとき、参考になるのは、教科書です。
教科書に書いてある言葉は、そのほとんどが適切に用いられています。
たとえば、「濃度」については、「濃い・薄い」とよく言いますよね。
それって、本当に正しいですか?
実は、「濃度」を表すときには、「高い・低い」を用いるのです。
このように、正しい言葉を使うことは、ベテランの先生でも難しく思うことです。
「正しい言葉を使わなくちゃ!」
と、気をつけすぎて、言い直しが多くてもいけません。
あくまでも、正しく伝えることに重きを置いて授業してみてください。
わかりやすい授業にしようと努力すること
教員のメイン業務は、「授業」だとお伝えしました。
では、授業をよいものにするために、どの程度 努力しているでしょうか。
実習中は、「学習指導案を出せ」「板書計画を出せ」とよく言われますよね。
わたしは、50分授業1コマの学習指導案を、9回も書き直した記憶があります。
しかも、板書計画も添付し直して、です。
実は、学習指導案や板書計画は、作成する意味があって提出してもらっています。
(これは、教員になってから分かったことです。)
実習生は、授業を進めることですら、難しく感じることが少なくありません。
そのときに、役に立つのが、前もって どれだけ授業のイメージを膨らませてきたか ということです。
まさに、このために、学習指導案を書いてもらっているのです。
では、どのようなことに気をつければ、分かりやすい授業になるのでしょうか。
意識するべきポイントは、次の3点です。
・流れのある授業展開
・子どもが納得する説明
・見やすく分かりやすい板書
たとえば、発問の仕方と、それに対する子どもの回答内容、そして、その後の説明を書き出しておきます。
そうして、前もって「発問・回答・答え」を準備しておけば、授業 本番中に 進行が滞ることが少なくなるはずです。
いわゆる、カンペがあるのと同じですから。
板書計画も同じことです。
黒板の どこに、何を書くのがベストか、前もって考えておけば、黒板に書くスペースがなくなり、慌てることが少なくなります。
そうして、スムーズな授業ができるよう、イメージを膨らませましょう。
スムーズな授業は、教員になれば、できて当然のことです。
子どもの頭をフルに使わせる授業にするためにも、スムーズな授業展開・上手な説明・見やすい板書が求められます。
ぜひ、意識してくださいね。
子どものことを よくみること
「みる」には、さまざまな漢字があてはまります。
いくつ思い浮かびますか?
「見る」「観る」「診る」「視る」「看る」
「見る」→調べて知る。発見する。経験する。
「観る」→観察し、判断する。
「診る」→身体の様子を調べる。診察する。
「視る」→目で物の形や色をとらえる。
「看る」→世話をする。
(参考:三省堂 現代学習国語辞典)
子どものために、すべての「みる」が必要なのは、お分かりいただけますでしょうか?
実際の教育現場では、いじめや虐待などの大きな問題を抱えて生活する子どももいます。
その子どもたちを守るために、教員は、常に目を光らせているわけです。
教育実習生が子どもに認められるためには、それなりの努力と根気が必要だとお伝えしました。
これには、どれだけ細かく、子どものことを「みる」ことができるかも 含まれています。
数週間という短い実習期間内であれば、ベテラン教員と同じように、子どもに目を光らせておく必要があります。
とくに、授業や休み時間など、子どもたちと接しているとき、子どものさまざまな良さを見つける努力をすることです。
さらに、見つけるだけではなく、「○○していて格好良かったよ!」などと、子どもに直接 褒め言葉を伝えてあげることが重要です。
「みる」ことと褒め言葉で、子どもは、あなたのことを信じてくれやすくなります。
そうすれば、子どもたちと作る授業が楽しめるようになるでしょう。
先生になる覚悟はありますか?
どの教育実習生にも訊く言葉です。
もし、覚悟がなければ、教育実習せずに、教員免許をとるのをやめてもいいかもしれません。
はっきり言って、実習生の指導教諭の時間も、あなたの時間も、ムダになると思うからです。
気になる方は、次の記事をお読みください。
では、覚悟を決めた あなたに。
本気で教員になり、本気で子どもたちと向き合える良き大人として、幸せな人生を歩んでください。
あきらめないあなたを 応援しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。