学校の先生に求められる対応力【子ども・保護者・地域】

5月下旬になり、そろそろ教育実習が始まった頃でしょうか。

学校の先生を目指す あなたに向けて、ぜひ身につけておいていただきたい「対応力」についてお伝えします。

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なぜ「対応力」が求められるのか

相手に応じた対応をすることは、社会人であれば、日常的に求められます。

たとえば、取引先の会社の役員さんが あなたところに訪れたとしましょう。

そのとき、取引を打ち切られてしまっては 都合が悪いので、できるだけ ていねいな対応を心がけますよね。

 

まさに、学校でも、こうした「相手」に応じた対応が求められているのです。

では、それは なぜか・・・。

 

早い話が、学校は、どの人にも公平な組織でなければならないからです。

 

こうした「相手」に応じた行動が注目されてきたのは、近年になってからです。

その背景には、グローバル化や、心身に障害がある人の増加が関係していると考えます。

 

教員が対応する「相手」とは、だれのことか

先ほどの話の続きをしましょう。

グローバル化が進んだのであれば、日本語を読んだり書いたりすることができない日本国籍の人もいるはずです。

学校では、そうした人にも、教育をほどこさなければなりません。

わたしもアラビア語しか分からない生徒を教えた経験がありますが、対応は とても難しかったです。

 

また、心身に障害がある人は、ちょっとした刺激に対して、敏感に反応する傾向があります。

だから、先生自身は、きつく言ったつもりがなくても、発達障害などの子どもは「先生に怒られた」と思うわけです。

そうして不安な気持ちになると、保健室に行ったり、学校に来られなくなったりしてしまう子どももいます。

それに、その子どもも、授業がイヤで保健室に行くわけではないと思います。

学校や教室の中に入ることができないのは、心と体に密接な関係があるからです。

できるだけ、そうした子どもも授業が受けられるように、配慮する必要があるのです。

 

 

ただ、先生をしていると、「相手」が こうした 子どもだけというわけではありません。

教員は、本当に「相手」が多い職業です。

 

「相手」としてたとえるなら、次のような人たちが挙げられます。

 ・教えている子ども、また、その保護者の方々
 ・教えていた子ども、また、その保護者の方々
 ・地域の方々
 ・あなた以外の先生(幼・小・中・高・大)
 ・警察・消防の方々
 ・教育委員会の職員
 ・教科用図書の出版社の社員

早い話、あなた以外のすべての人が「相手」なのです。

 

 

その中でも、とくに、相手になる場面が多い3者「子ども」「保護者」「地域の方々」に焦点を当てて お伝えしていきます。

相手が何を求め、どのようなことをしてほしいのか、察知することも必要になってきます。

「子ども」に対応するとき

あなたは、教育実習で、子どもたちと どのように関わりましたか?

 

相手が子どもの場合、多くの先生は、子どもを小ばかにしたり、見下したりしがちです。

 「オレ様が教えてやっているんだ。ありがたく思え。」

などと、思い込んでいると、あとで苦労することでしょう。

 

子どもに接するときは、子どもを一人の人間として認め、できることなら、尊敬のまなざしで見てあげてください。

 「この子は、話すのが苦手な子にも、積極的に関わろうとしているな。」

などと、多くの人ができそうにないこと、やりたくないことを、自然に やってのける子どもがいることに気づくはずです。

 

そうした、人の心が分かる子どもばかりならよいのですが、そんな世の中ではありません。

このような中で、最近 問題視されているのが、障害をもっていなくても、それに似た子どもが増えてきたことです。

 

わたしが勤めていた学校でも、発達障害にあてはまりそうな子どもが何人もいました。

1クラスにつき1~3人程度です。

以前までは、今ほど問題視されていなかったため、障害がなければ、特別に配慮することも あまり ありませんでした。

しかし、最近の現場は違います。

 

このようなことを踏まえ、やはり、子ども一人一人に 適切な対応が求められているのは事実です。

 

教育実習のときのことを、今一度 思い出してみてください。

あなたが授業をしていたとき、どのような子どもがいたか、覚えているでしょうか?

 

 ・集中が続かず、すぐに他の子にちょっかいを出してしまう子

 ・1つの作業に集中しすぎて、次の作業に進めていない子

 ・先生の話を聞かずに、自分勝手に暴走してしまう子

 ・先生の話は聞いていそうなのに、まったく理解できていない子

 ・机に突っ伏して寝てしまう子

などなど、挙げようとすればキリがありませんね。

 

では、その一人一人に対して、まったく同じように接したでしょうか?

 

答えは「いいえ」であると信じていますが、実際の教育現場では、それ以上に指導が多様化していることを知っておいてください。

 

あなたが担任になれば、最低限、自分の担当学級(ホームルーム)だけは、一人一人の子どもに対応しなければなりません。

子ども一人一人のことをよく観察して、どのような接し方をすべきか、というところから考えていく必要があるのです。

 

さらには、

「この子に 足りない力はどのような力で、どのように はたらきかけたら、その力を伸ばせるのか」

と、考えを巡らせることも大切です。

 

教員という仕事は、日常の業務で精一杯になることも多いでしょう。

しかし、子どもたちの将来のために、今、あなたにできる精一杯の導きをするのが、先生の役割なのではないでしょうか。

 

まとめ

・子ども一人一人で、得意なこと・苦手なこと、人柄、育てられた環境は違う

・将来、その子どもに何が必要かを見極め、必要な力を伸ばすための導き手になる。

 

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「保護者の方」に対応するとき

実際の学校現場で、先生が関わるのは、子どもです。

しかし、学校で起きたことは、そのまま、または、子どもの主観を通して、家庭に伝わります

 

そこで、問題になっているのは、モンスターペアレントです。

実際に、わたしも経験がありますが、教員をつぶしにかかる保護者の方もいます。

 「あなたなんて、先生を辞めればいいのよ。」

と、平気な顔で言われます。

 

そのような保護者の方も、自分の子どもを大切に思っているからこそ、はたから見て 度が過ぎているような行動ができてしまうのです。

 

保護者の方との対応で大切なのは、保護者の方が大切にされている気持ちを察して、それに共感することです。

 

 

モンスターペアレントだけではありません。

保護者懇談会のような場面でも、同じように、保護者の方が何を聞きたいと思っているのか、察することが大切です。

「子どもは、進路のことを考えていないけど、保護者の方はとても心配されているな」

と分かれば、すかさず話題を「進路」にします。

そして、子どもに対して、進路先を紹介できれば、少しでも 保護者の方を安心させることができるはずです。

 

また、子ども一人一人に違いがあるように、保護者の方一人一人にも違いがあります

子どもに対して、放任主義の方もいれば、過度な心配・期待を抱く方もいます。

先生に悩み事を話すだけで、スッキリされる方もいます。

 

そのそれぞれに対応するのは、子どもに対応するのと同じように大変です。

ただ、どの保護者の方であっても、共通していることは、我が子を大切にしてほしいということです。

もし、保護者対応で迷うことがあれば、先生として「子どもを大切にするには、どうすべきか」を考えてみてください。

そうすれば、きっと 見えてくるものがあるのではないでしょうか。

 

まとめ

・保護者の方にも違いがあるが、共通しているのは、我が子を大切にする気持ち

・保護者の方の気持ちに寄り添いつつ、先生という立場で 子どもにできることを考える。

 

「地域の方々」に対応するとき

学校や子どもたちにとって、地域の方々は、とても大切な存在です。

地域の方々なしに、学校教育は成り立ちません

わたしは、そう考えます。

 

よく小学校の登下校時刻になると、地域の方々が交差点などに立ち、子どもたちの様子を見守っていてくださいます。

何か気になることがあれば、すぐに学校に連絡してくださるということもあります。

そのため、子どもだけでなく、先生にとっても、心強い味方でもあります。

 

 

その一方で、子どもが交通ルールを守れていないときに、

「あなたの学校は、交通マナーの指導がなっとらん!」

と、苦情の電話をかけてくださることもあります。

さらには、わざわざ 学校に足を運んで、管理職に直接 お話しされる方もいます。

 

そうした 地域の方々の対応のほとんどは、管理職 ならびに 各主任の先生がしてくれます。

込み入った話は 管理職任せにするのがふつうになっていますが、初めの対応は、どの教員もしなければならない可能性があります。

そのとき、まずは、地域の方の話を くわしく 聞きましょう

 

例として、「交通ルールを守れていない」という情報を提供してくださる、地域の方との対話を記しました。

 

地域の方
「あなたの学校の生徒さんが、いきなり道路から飛び出してきて、驚いたよ。」

あなた
「ご迷惑をおかけし、すみませんでした。どの辺りの道路でしたか?」

地域の方
「○○工場の近くの十字路だったね。あそこは一旦停止の標識もあるのに。」

あなた
「申し訳ありませんでした。
 もし よろしければ、何時ごろの出来事だったか、教えていただけますか。」

 

以上のように、話をできるだけ くわしく聞き、管理職に引き継ぐのがベストです。

 

気をつけるべきことは、それ以上、地域の方が不快な思いをされないようにすることです。

 

電話をくださったのであれば、その方の貴重な時間と通話料金をかけてくださっていることに感謝しましょう。

また、直接 来校された方には、必要最低限の おもてなしをし、感謝の気持ちと、お詫びの気持ちを示すことが大切です。

 

まとめ

・地域の方は、好きで苦情を言うわけではない

・悪いことは謝り、それ以上 不快な思いにさせない配慮をする。

・最後には、子どものために情報を提供してくださったことに感謝する。

 

教員は「対応力」がないと やっていけない!

ここまで お伝えしてきたほかに、先生どうしでも「対応力」が必要になる場合があります。

教員も、ただの人間です。

感情があり、好き嫌いもあります。

 

社会人であれば、だれしもそう考えると思うのですが、他人を嫌っても、イライラするだけで、何も利益がありません

そうであるならば、苦手だと感じた相手を拒絶するのではなく、その人の「特徴」や「個性」として受け止めてみませんか?

そうして対応すれば、苦手な先生に、あなたの感情を左右されることなく勤務できます。

 

こうした先生どうしの人間関係に、悩む教員も少なからずいます。

教員として 働くのであれば、少なくとも、仲間内は、ストレスフリーでありたいものですね。

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