教員採用試験【大学推薦】合格は2人!?
高校入試にも、大学入試にも、「推薦」というものがあります。
それが教員採用試験にも存在していることをご存知でしょうか?
わたしは、とある教員採用試験で「大学推薦」を利用し、一発合格しました。
そこで、「教採の大学推薦」について、気になることをまとめておきました。
教採の大学推薦とは
教採の大学推薦を正しく表現すると、「大学推薦 特別選考」と言います。
文字通り、在籍している大学の学校長に推薦してもらい、一般選考とは一部異なる方法で試験を受けることができるというものです。
異なると言っても、試験を受けることに変わりはなく、変わるのは、一次試験が免除されるなどの措置が取られるということです。
2020年5月に調べてみると、次のような自治体で「大学推薦特別選考」を実施していました。
埼玉県・長野県・愛知県・京都府・大阪府・さいたま市・横浜市・大阪市・堺市・豊能地区で行われています(2020年5月現在)。
※ 列挙した自治体は、2021年度採用の教採に関するもの(一部)です。
次に、府県単位で行われる教採において、それぞれ免除後の試験内容をまとめました。
以下のうち、大阪府だけ1次~3次選考まで行われています。
自 治 体 | 1次選考 | 2次選考 | 3次選考 |
埼 玉 県 | 書類選考 通過後 免除 | 一般選考 と同じ | (なし) |
長 野 県 | ・書類審査 ・筆記試験 (専門教科) | 一般選考 と同じ | (なし) |
愛 知 県 | 書類選考 通過後 免除 | 一般選考 と同じ | (なし) |
京 都 府 | ・選考通過後 筆記試験 (小論文・ 専門教科) ・面接試験 | 一般選考 と同じ | (なし) |
大 阪 府 | 書類審査 通過後 免除 | 書類審査 通過後 免除 | 一般選考 と同じ |
上記のように、大学推薦で教採を受けることにより、試験の一部が免除されますが、免除される内容は自治体によって異なります。
上の表のうち、埼玉県と愛知県では1次選考が、大阪府では1・2次選考が免除される制度になっています。
こうした自治体の教採を大学推薦で受ければ、一般選考のライバルたちが受けている1次選考の間も、勉強に勤しむことができます。
表に記載した自治体以外にも、大学推薦特別選考を行っている自治体があります。
検索バーに「気になる自治体名+教採+大学推薦」を入力して、ぜひ調べてみてください。
大学推薦がない大学もある
そもそも、大学推薦の枠は、非常に限られたものです。
そのため、全国にあるすべての大学から推薦できるというわけではないのです。
あなたが第一志望とする自治体で、大学推薦 特別選考があると分かったのなら、次は、あなたの在籍する大学が、対象校になっているか確認しましょう。
この特別選考は、各自治体から大学側に「優秀な学生を推薦していいよ」という通知が来ていないと対象外になってしまいます。
つまり、あなたが通っている大学に特別選考枠が用意されていなければ、一般選考でしか受けられないということです。
教員になる上で、大学選びが重要なのは言うまでもありませんね。
こうした特別選考に関する通知は、年度の初めには大学側に届くそうです。
毎年 教員を輩出し、その先輩教員らが とくに問題なく勤めている大学であれば、対象になりやすいそうです。
また、自治体によっては、前年度に採用された教員がいるのであれば、複数名を推薦することができるという場合もあります。
詳しい情報は、きちんと学生側に開示されるはずですから、分からないのであれば、願書を出す前に 大学に問い合わせておきましょう。
大学推薦の2つの基準
大学推薦で教採を受ける場合、2つの基準をクリアしなければなりません。
1つ目は、大学側の推薦基準です。
わたしの大学では、各校種・教科につき1名しか推薦することはできません(当時)。
しかし、大学推薦で教採を受けたいという多くの同期生が、この特別選考に名乗りを上げます。
そのため、大学側は、各校種・教科につき もっとも優秀な1名を決定し、推薦するということになっています。
その学内選考で重視されたのは、成績でした。
大学側は、「成績や人柄などから総合的に判断する」と言っていましたが、成績がメインだったように思います。
わたしは、大学在籍中、成績が常にトップクラスだったので、同じ学部で右に出る者はいませんでした。
同期生もそのことを知ってか、わたしと同じ校種・教科は避けたそうです。
こうした学内の選考基準は、それぞれ大学によって違うと考えられますが、よい成績であることに越したことはないでしょう。
2つ目は、自治体における基準です。
たとえ大学の選考基準を満たしていても、出願先の自治体の基準を満たしていないと、特別選考で受け付けてもらえません。
ここでも、成績が重視されています。
先ほど挙げた大学推薦を実施する府県の中には、要項に「成績が優秀であること」と書かれている場合がほとんどでした。
あなたの成績はいかがでしょうか。
成績以前に、卒業見込みでないと受け付けてもらえませんので、卒業に必要な単位を取得しているかどうかも確認しておいてくださいね。
「推薦」に合格の保障はない
よく勘違いされる方がいらっしゃるのですが、中学校から高校、高校から大学に進学するときに行われる「推薦入試」と教採の「大学推薦」は違います。
早い話が、教採の場合、「推薦だから必ず合格する」ということはないからです。
わたしは、ある自治体の教員採用試験で、この大学推薦を利用したと先ほどお伝えしました。
そのとき、同じ校種・同じ教科で、大学推薦による特別選考を受けていたライバルが約40人いました。
なぜ人数が分かったかと言うと、受験者番号が「一般選考」「大学推薦特別選考」「社会人特別選考」などで分けられていたからです。
そのため、試験会場の案内看板に掲示されていた受験者番号を見て、「約40人も大学推薦で受けているんだな」と感じました。
しかし、その40人の中で、何人が合格したかと言うと・・・
わたしを含めて、たった2人です。
わたしが受けた校種・教科の全体倍率は、約8倍でした。
同じ校種・教科の大学推薦だけで倍率を計算してみると、なんと約20倍にもなります。
この数値だけでは断言できませんが、推薦をもらったから合格するという保障はどこにもないのです。
以上のことから、「大学推薦の枠を勝ち取ったから安心だ」というのは間違っていると言えます。
「勉強しなくて済むぞ」という考え方も注意が必要です。
むしろ、1次選考を受けている人の分まで勉強するくらいの勢いがほしいところです。
教採の大学推薦のメリット
しかし、なぜ 多くの学生が大学推薦をもらおうとするのでしょうか。
大きな理由は、試験までに「時間をつくることができる」からです。
先ほど説明したように、試験の一部が免除されます。
もし、一次選考のすべてが免除される自治体なら、試験本番が約1か月も先延ばしになるということです。
準備する時間ができるという意味で、大きなメリットがあります。
ただし、その時間をどう過ごすかは、あなた次第です。
アルバイトでお金を稼いでもいいですし、旅行をしてもいいです。合格できるのであれば。
わたしの場合は、教採を併願していたため、本命の自治体以外は、1次選考がありました。
教員採用試験は受験料が必要ないので、試験慣れしておくためにも、ほかの自治体に願書を出しておくべきでしょう。
教採の併願については、次の記事に詳しく書きました。
ご覧ください。
大学推薦をもらうポイント3つ
先ほどお伝えしたように、大学も自治体も、推薦基準は主に成績です。
もし、来年度以降の教員採用試験を受けられる方であれば、今からでも遅くはありません。
大学でよい成績がとれるように努力しましょう。
また、聞くところによると、大学側と揉め事を起こした学生は、大学推薦の対象外だったそうです。
問題行動を起こさないように気をつけてください。
自分で自分をコントロールできる人は、社会人になってもまわりから信頼されやすいです。
そのほかにもポイントがありますので、次に記しておきます。
- 授業の成績良好
- 模試の結果良好
- 問題行動なし
の3つです。
といっても、当たり前のことをきちんとできる方であれば、人物的に見ても推薦の対象となり得るでしょう。
大学推薦をもらったら
多くの大学生は、大学推薦をもらったことによって、気が抜けてしまうようです。
気を抜くのは、合格してからにしてください。
ヒトは忘れる生き物なので、勉強しなければ忘れる一方です。
もちろん 息抜きも必要なので、勉強に行き詰まったり、試験に不安を感じたりしたら、うまく気分転換することも大切です。
ただし、試験本番まで できる限りのことをして、試験後に悔いることのないようにしてください。
大学在籍中しか、この特別選考は行ってもらえないのですから。
また、大学から推薦がもらえると判明した時点で、出願に必要な書類を早めに用意しましょう。
書類の提出には期限があり、それに間に合わないと一般選考でしか受けられなくなってしまうからです。
わたしが志望していた自治体を例に挙げると、学長の推薦書や成績証明書が必要でした。
このうち、推薦書は、わたしがどのような人で、どのような魅力があるのかを大学側に書いてもらう必要がありました。
そこで、この推薦書は、4年に渡って指導してくださった教授にお願いしました。
そして、急ピッチで書いていただいた推薦書に学長の印を押していただき、仕上がった推薦書と願書と成績証明書を教育委員会に郵送しました。
試験本番は自信をもって
わたしは、複数の自治体で教採を受け、どの自治体でも 現役一発合格でした。
大学推薦をもらってからも、勉強・アルバイト・遊びをバランスよく行っていた結果だろうと思います。
わたしの場合は、2次選考の前日に荷造りをし、試験が終わった翌々日から1か月は海外にいました。笑
こうして、遊ぶときは遊んで、勉強するときは勉強するというように、メリハリをつけて取り組むのがわたし流です。
試験だからと気構えずに、楽しんでしまえばいいのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
あなたも自信をもって、教採を楽しんできてください。