教員【6月病】1学期が終わる前に倒れそう
毎日、お疲れ様です。
6月になり、じめじめした季節になってきました。
今回は、学校の先生の「6月病」について、お伝えします。
「6月病」ってなに?
4月から新生活がスタートし、慣れない環境の中、仕事に追われる4~6月は、心身ともに疲れが溜まりやすい時期です。
そのため、「5月病」とともに「6月病」も、心身に異常をきたしてしまうことをさします。
そうした「5月病」「6月病」というのは、正式な病名ではありません。
医学界では、よく「適応障害」と言います。
適応障害は、ある特定の状況や出来事がつらく感じられ、気分や行動面に症状が現れるものです。
たとえば、次のような症状が挙げられます。
・憂鬱(ゆううつ)な気分になる。
・とても不安になることがある。
・涙もろくなり、何でもないのに泣いてしまう。
・心配し過ぎて、余計なことに気を遣ってしまう。
・神経が過敏になり、些細なことでも気になる。
・無断欠席・無断欠勤が続いている。
・無謀な運転、けんか、物を壊すなど、危険行為・破壊行為をする。
(参考:厚生労働省 「みんなのメンタルヘルス」)
「6月病」=「適応障害」=ストレスが原因
適応障害は、世界保健機構の診断ガイドライン「国際疾病分類(ICD-10)」で、次のように定義されています。
「適応障害」
ストレスにより引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態。発症は通常生活の変化やストレス性の出来事が生じて1カ月以内であり、ストレスが終結してから6カ月以上症状が持続することはない。
(引用:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」)
世界保健機関(WHO)の「国際疾病分類(ICD-10)」について
国際疾病分類(ICD)は、世界的に健康の傾向と統計を特定するための基盤であり、疾病と健康状態を報告するための国際標準です。
それらは、すべての臨床および研究目的のための診断分類の標準となっています。
やはり、「適応障害」の原因は、ストレスだと言えますね。
ただ、一言で「ストレス」と言っても、何が ストレスになるかは、人それぞれ違います。
たとえば、わたしは、他人の体臭を嗅ぐことがストレスになります。
しかし、わたしの友人は、他人の体臭を嗅いでも、ストレスに感じないそうなのです。
その逆に、友人は、自分のものを他人に触られると、大きなストレスを感じるそうです。
わたしは、それに比べれば、小さいストレスを感じるだけです。
このように、どのようなことが、どれほどの強さの「ストレス」になるかは、人によって違うのです。
これは、自分にされたことや、突発的に起きたことに対する、ストレスの感じ方の度合いに個人差があるからでしょう。
また、学習や経験によって身につく ストレス耐性も、感じ方の度合いに大きくかかわっていると考えられます。
とくに、多くの人にとってストレスになることは、「生活上の大きな変化や、ストレスに満ちた生活上の出来事」です。
こうした出来事は、新生活のスタートなどの「個人レベル」から、大地震・大津波などの「地球規模」まで、さまざまなものがあります。
早い話が、「適応障害」は、ある出来事が本人にとって重大なことで、日常生活に支障をきたすほど、抑うつ気分・強い不安を感じることです。
さらに、それらの感じ方が正常の範囲を超え、いつもとは違う行動が現れている状態です。
なぜ多くの適応障害は「6月」なの?
ここまで、お伝えしてきた通り、ストレスが大きく関係しているからです。
4月から新生活がスタートしたとすると、6月は、まだまだ緊張が続いている時期です。
たとえ、あなたが意識していなくても、勝手に気を張って生活していることがあります。
そのため、学校に行くと ひどく疲れたり、業務に対して前向きに考えられなくなったりします。
とくに、学校の先生は、前年度3月の終わり頃から、4月、5月、6月、7月と、夏休みが始まるまで、バタバタの生活を送ります。
わたしも教員経験者なのでよく分かります。
そこで、バタバタの生活になる理由を考えてみました。
・そもそも、人事異動の発表が遅い。
(引っ越しが間に合わないという声をよく聞きます。)
・自分の家族内にも、新生活がスタートする子がいる。
(必要以上に、子どもに手をかけてしまいがちです。)
・新たな学級・ホームルームの準備がある。
(掲示物の作成・学級経営方針の決定など、主に担任業務です。)
・引っ越しがある。
(4月に間に合わなければ、GWに行う先生もいます。)
・初めて会った先生・子どもの名前を覚えなければならない。
(人の名前と顔を覚えるのが苦手な先生にとっては苦痛ですね。)
・初めて訪れた学校だと、制度が分からない。
(書類の種類・締切・保管場所などがまったく違う学校もあります。)
・教科でやらなければならないことが多過ぎる。
(テストの作成・採点・成績入力、新たな教材の研究など目白押しです。)
・学校行事があり、準備・実施・反省に追われる。
(修学旅行などの宿泊行事では、夜中まで見張りをする先生がいます。)
・健康診断などが授業中にあり、授業の進度が遅くなる。
(テスト範囲まで進められず、ほかの先生に授業をもらうこともあります。)
・初任者研修・5年目経験者研修などの研修がある。
(はっきり言って、研修が通常業務の時間を奪います。)
・忙しく、休みをとる時間がない。
(毎日こなすべき業務があり、滞るとほかの先生に迷惑がかかるのです。)
・紙媒体のデータが多く、管理しきれない。
(紙1枚を探すのに、どれだけ無駄な時間をかけていることか…。)
・5月~7月は出張が多い。
(教科書研究会や部活動顧問会議などがあり、授業どころではなくなります。)
・新転任の先生方に業務を伝えなければならない。
(以前からいた先生が 一から教えなければならず、自分の時間が奪われます。)
教員を長年続けていれば、こうした忙しさに慣れることがほとんどです。
そのため、大ベテランの先生は、先を見越して動くことができ、ストレスに感じることが少ないと言えます。
「今、このタイミングでこれをやる」というのが、感覚的にわかるからです。
ただ、新任や、今までとは違う校風の学校に移った若手の先生などにとっては、多くのことが分からない状態からスタートします。
いわば、「ゼロ」の状態からになるのです。
さまざまなことを いちから積み上げていかなければならず、業務をスムーズにこなすためには 時間がかかります。
こうした状況だからこそ、分からないことがあったとき、先輩の先生のお知恵を借りることが必要になります。
しかし、質問したくても、先輩教員も忙しくされているのが今の学校現場です。
はっきり言って、4~6月は、どの先生にとっても余裕がありません。
だから、まわりの先生に頼ったり、気軽に尋ねたりすることができず、一人で抱え込んでしまう先生が後を絶たないわけです。
こうした余裕のない現場も、先生のストレスの原因になっていると考えられます。
(疲弊した学校現場では、よい教育ができると思えませんよね…。)
「6月病」を放置しておくと・・・?
「新年度が始まってから、夏休みまでの間は、とても忙しい。そんなことは当たり前。」
と、よく言われます。
だから、学校の先生は、頑張りすぎてしまうのです。
「どうせ、6月病だから大丈夫。まだ頑張れる。」
と言って、頑張り過ぎの日々が続くと、どこかでその緊張の糸が切れたとき、もう元の状態に戻れなくなります。
そうして、気づいたら手遅れの状態になっていることがあり、「うつ病」だと診断される始末です。
「うつ病」の気分障害や不安障害などのほかに、「統合失調症」という診断を受ける場合もあります。
もし「うつ病」や「統合失調症」の診断を受けた場合、それまでに「適応障害」という診断を受けていても、「うつ病」などの より重い診断結果に従います。
だから、治療も「うつ病」や「統合失調症」に適したものを施してもらうことになります。
――― いったいどれくらいの人が適応障害になっているか
ヨーロッパでの報告によると、一般的には人口の1%といわれています。
日本での末期がん患者の適応障害有病率の調査では、16.3%といわれています。
しかし適応障害と診断されても、5年後には40%以上の人がうつ病などの診断名に変更されています。
つまり、適応障害は、その後の重篤な病気の前段階の可能性もあるといえます。
(引用:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」)
「6月病」かな?と思ったら
学校の先生は、その業務の特殊性ゆえに「多忙期」とそうでない時期があります。
「多忙期」に、心も身体も むしばまれて元気がなくなることは、避けなければなりません。
あなたがこの記事を読んでくださっているということは、少なからず「6月病」に関心があるからだと お察しします。
まず、「6月病」、「適応障害」だろうなと感じているのであれば、早急に 休みをとってください。
ここで言う「休み」とは、仕事のことを一切 考えず、自分の気の向くままに過ごすということです。
1日中ゴロゴロしてもよし、読書や映画鑑賞してもよしです。
多くの先生は、「学校」や「社会全体」がストレスになる職業です。
とくに、大きくストレスを感じるのが「学校」ではないでしょうか。
であれば、「学校」から1日 離れてみましょう。
もし、1日学校から離れるだけで 気分がスッキリしたのであれば、定期的に休みをとることを強く勧めます。
多くの先生は、テスト期間の部活動がないときや、テスト当日の授業をしなくてよい日に年次休暇を取得します。
「学校」という環境が あなたのストレスになると分かっているのなら、なおさら休むべきです。
このように、ストレスに感じる状況や 出来事がはっきりしていれば、その原因から離れるだけで、「6月病」の症状は段々とよくなります。
先でも お伝えしましたが、「6月病(適応障害)」を放っておくと、本当に「うつ病」「統合失調症」になってしまいますよ?
わたしの身近な人が「うつ病」になったので言えることですが、「うつ病」になったあとは、本当に大変です。
社会復帰もそうですが、経済的にも、精神的にも、その人 ひとりで生きていくことは困難になります。
リストカットなどして、自殺を図ろうとすることも多々あります。
「うつ病」は、本人自身で乗り越えなければならない壁があります。
そのため、家族や友人、同僚の支えがあっても、乗り越えられないことがある重い病気なのです。
そうして自分でも訳が分からず、自ら命を絶ってしまう という手遅れな状況になる前に、心身を休めましょう。
手遅れになってしまえば、まわりの人に多大な迷惑がかかるので、今 休んだほうが だいぶマシです。
もし、ストレスの原因から離れられない場合、「適応障害」の症状が悪化してしまうことがあります。
そういった場合は、お医者さんやカウンセラーさんを通して、ストレスを軽減させる方策を見つけましょう。
また、強いストレスを感じる状況に対して、前向きに考えることも有効です。
たとえば、
「授業が4時間連続だけれど、それが終われば、おいしいお弁当がわたしを待っている!」
というように、ストレスがある状況に適応する力をつけることも、有効な治療法なのです。
あくまでも、無理はせず、心身の調子が悪ければ、保健室の養護教諭のところに行けば大丈夫です。
あなたのことをきちんと受け止めてくれますから。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
激務の1学期が終わる前に倒れないよう、今、きちんと休みをとって、心身をリフレッシュさせてくださいね。
(以上、参考 :厚生労働省 「みんなのメンタルヘルス」) )