先生にとっての【部活動】
部活動は、はっきり言って、やらなくていいのであれば、やりたくない仕事です。
高校であれば、教育課程に含まれないので、本当のところ、やらなくてもいいということをご存知でしたか。
しかし、中学校だと、そういうわけにもいきません。
教育活動の一環として位置づけられ、どうしてもやらなければならないことなのです。
今回は、この部活動による被害をお伝えしていきます。
被害者【先生】時間を奪われる
だいぶ改善の手は入っているようですが、進んでいない自治体では、まだ19時近くまで部活動をやる学校が多いです。
先生たちは、勤務時間を1時間以上もオーバーして、働かされます。いわゆるお金の出ない残業です。
もちろん、1日の授業が始まってから部活動が終わるまで、ほとんど休憩はありません。
休憩できるのは、子どもが下校してからです。
つまり、朝7時から業務に徹して、やっと19時に休憩がもらえるという労働環境です。だから、超ブラックだ なんて言われます。
この「ブラックだ」という感覚は、年を重ねるごとにマヒしてきます。
そのいい例が職員室で耳にする、「まだ20時だ。」という言葉です。
わたしなんかは、「まだ」という言葉に違和感をおぼえます。
「もう」の間違いなんじゃないだろうか、とふつうの人であれば思うところです。
先生を長年やっていると、日付が変わってもおかまいなしで、職員室に居残る先生たちがいます。
わたしが先生だったころも、「遅くまで学校に残らないように」と、管理職から職員全体に注意喚起がありました。
「日付が変わるまでいるなんて、頭がおかしいんじゃないだろうか。」
とわたしは思っていました。
しかし、中学校での現状は、そんなにあまいものではありませんでした。
とくに 部活動が、先生が本来やらなければならない授業準備の時間を奪っていたのです。
わたしが中学生だったころは、つきっきりで顧問の先生が活動場所にいるなんてことはありませんでした。むしろ、活動時間の半分は、席を外されていました。
しかし、今、多くの中学校では、部活動の様子を顧問の先生が活動場所で見守らなければならないのです。
拘束されているくらい苦痛なものです。
そして、その結果、先生は自分の時間を削るしかなくなっているのです。
それが睡眠不足や体調不良につながり、さらに、ほかの先生の負担を強いることになってしまう、という悪循環につながります。
とくに、女性の先生の間では、「もう部活動は、やりたい先生だけがやってください」という雰囲気になっています。
とにかく、顧問制をやめて、外部コーチに委託するという形にさせてほしいですね。自治体がお金を出すということで、委託OKにしてしまえばいいんです。現在、各学校に割りあてている費用から、部活動費を減らせば、少しは財源確保につながるかと思います。
先生たちの被害は、これだけにとどまりません。
さらに、子どもがいる先生たちは、ろくに自分の子どもの世話もできないままになってしまうのです。
部活動は、もちろん土日にもあります。それは保護者や子どもたちが部活動をやってほしいと望むからです。
ましてや、土日の両日が大会だったとすると、先生は週に7日働くことになります。労働基準法は関係ないのでしょうね。
法律や規則に厳しい公務員なのに、労働基準法は無視です。変な話です。
本当であれば、我が子の成長を見てやりたいはずなのに、そんな家族サービスをする時間も気力も、部活動に奪われてしまうのです。
それなりの時間、部活動を見ている先生には、部活動手当という、ほんの少しの報酬が出ます。
しかし、ガッツリ出してもらえる残業代なんてありませんし、お金にすらならないことをさせられて、プラス時間まで奪われているんです。
先生って、かわいそうで しかたありません。
でも、かわいそうな被害者は、先生だけではありませんよ。
被害者【子ども】不十分な学習指導を受ける
親として、学校に何を求めているかにもよりますが、少なくとも社会で生き抜くための基礎知識は身につけてほしいですよね。
であれば、部活動は推進すべきではありません。
なぜなら、部活動で手一杯になった先生は、教材の準備なんて十分にできないからです。
準備不足の状態で授業されると、わかりにくい授業になってしまいがちです。だから、部活動の推進によって、子どもがいちばんの被害者になってしまうのです。
親として、部活動よりも子どもの将来のことを心配してやったほうがいいです。
そのために、学校とは別に、家庭でできることは協力する姿勢が必要です。
見方によっては、いいところもある?
「部活動」といえば、悪い面ばかりがとり上げられてしまいます。
長時間労働やら、監督責任 不行き届きやら、その多くが公務員だからという理由で、大々的なニュースになります。
そんなに、部活動は悪いところばかりなのでしょうか。
先生たちは、もう少し頭をやわらかくする必要がありますよ。
ここからは、部活動の「いい面」を紹介しましょう。
早い話が、先生たちの会議があっても、「部活動」と言えば、会議をすり抜けられることです。
部活動も早めにけりをつけてしまえば、いつもより早く家に帰ることができますよ。
なぜ会議よりも部活動をとるかというと、会議が長すぎるからです。
場合によっては、3時間以上かかる場合もあります。
そんな長い会議に付き合っていたら、身体を壊してしまいます。
部活動があるからと言って、抜けてしまえば、会議に出席しなくても、後から回覧で資料を確認すればよいだけです。
部活動も早めに切り上げて、そそくさと帰りましょう。
自分の時間や家族サービスの時間を確保してください。
先生だけではなく、もちろん子どもにもいい影響があります。
運動部に所属していれば、体力がつきます。
文化部に所属していれば、専門的な才能を開花させることができます。
部活動全体を通して言うと、人間関係のつくり方や組織運営のしかたを学ぶことができます。
さらに、仲間と感動を分かち合ったり、強い精神力が身についていったりします。
部活動が学校にあるということは、こうしたいい面もあるからなんですよね。
うまいこと悪い面を取り払って、先生の負担にならない部活動を今後も考えていかなければならないですね。