個人事業【ゆうちょ】2つ目の口座開設
わたしのように、すでに ゆうちょの口座をおもちの方が多いと思います。
そのような方が個人事業主として新たに口座を開設するときには注意すべきことがあります。
今回は、新たに個人事業主になられる方に向けて、「事業用のゆうちょ」口座開設についてお伝えします。
個人事業主がゆうちょにする理由
わたしは、個人事業主になる前に、事業用としてゆうちょ口座をもう一つ作っておこうと考えました。
「ゆうちょ」を利用したかった理由は、次の通りです。
- 郵便局株式会社が主体のため、安定していると考えられること
- 引き出し手数料が無料であること
- 全国各地にゆうちょATM(郵便局)があること
- コンビニエンスストア(一部)のATMで利用できること
- 取引相手の方に安心して振り込んでもらいやすいこと
実は、上記以外に、もうひとつの大きな理由があります。
これについては、最後にお伝えしますね。
事業主にとって大きなメリットがあるため、やはり多くの方は「ゆうちょ」を選ぶわけです。
2つ目の口座は開設できない!
口座を開設するには、やはり信用情報がカギになります。
そのため、中には信用がなくて、口座を開設できない方もいらっしゃいます。
そうした方々に対して、口座を売ってしまう人がいるそうです。
そこで、ゆうちょの口座も、原則一人一つまでと厳しくなっています。
早い話が、個人用と同じ種類で2つ目の口座を開設するのは不可能になっているということです。
ほかのサイトを拝見していると、
「個人用と同じ種類の口座を もうひとつ作ったよ」
という内容が書かれている場合があります。
しかし、2019年以降は、先ほどの理由から断られてしまいます。
「えっ!じゃあ、事業用の口座は作れないということ!?」
最初は、わたしもそう思いました。
本当に2つ目の口座を作れないか
しかし、個人事業を始めるにあたり、どうしても「ゆうちょ」がよかったわたしは、郵便局の窓口に直接足を運びました。
そこでのやり取りは、次の通りです。
郵便局員の方
いらっしゃいませ。ご用件をうかがいます。
わたし
事業用に、もうひとつ口座を開設したいです。
郵便局員の方
すでにゆうちょの口座はおもちでしょうか。
わたし
はい。もっています。
郵便局員の方
それだと、口座をお作りすることはできません。
わたし
えっ・・・?
郵便局員の方
口座が販売・悪用されてしまうことから、一人一口座までとなりまして…。
わたし
そうでしたか…。
どうしても口座は開設できないということでしょうか。
郵便局員の方
申し訳ないですが、通常貯金の口座は開設できません。
しかしながら、ほかのものでしたらご案内できます。
わたし
どのような口座ですか?
郵便局員の方
総合口座のうちの「通常貯蓄貯金」というものがあります。
わたし
へぇ。わたしがすでにもっているものと、どう違うのですか。
郵便局員の方
お客さまの口座も総合口座なのですが、「通常貯金」という種別になっております。
それとの違いは、できないことが多いという点です。
わたし
できないことと言いますと?
郵便局員の方
1.お給与の振込先に指定することができないこと
2.公共料金やクレジットカードの自動引き落としが利用できないこと
3.年金の受け取り先に指定することができないこと
以上の3点が大きく違う点です。
わたし
クレジットカードの引き落としに利用できないのですか…。
「通常貯蓄貯金」もあきらめます。
こうして、1つ目の郵便局を後にしました。
しかし、あきらめないのがわたしの取柄です。笑
次に、小さめの郵便局に行き、同じやり取りをしました。
―― 結果は、残念ながら同じでした。泣
その次に行った3つ目の郵便局でも同じでした。泣笑
ということで、ゆうちょの2つ目の口座を「通常貯金」で開設することはできないとはっきりしました。
ゆうちょの口座種別は3つ
開設できないと言われ続けた わたしは、総合口座をあきらめることにしました。
よくよく調べてみると、総合口座では「あること」ができず、もう一つの口座であれば「あること」ができるとあります。
「もう、これしかない!」と思いました。
そもそも、ゆうちょの口座には、総合口座と振替口座の2つがあります。
そのうち、総合口座は先ほどの局員さんとのやり取りから、通常貯金と通常貯蓄貯金とに分けられると分かります。
では、合計3つの口座について見ていきましょう。
通常貯金(総合口座)
ふつうにプライベート用で使われている「ゆうちょ」が総合口座の通常貯金になります。
記号・番号が「1」から始まる口座がこれにあたります。
多くの方が利用されていると思いますので、とくに詳しい説明はしません。
給与や年金の振込先に指定することも、公共料金やクレジットカードの支払いに利用することもできます。
通常貯蓄貯金(総合口座)
通常貯金とは別に開設することができます。
しかも、通常貯金と同じように、通帳やキャッシュカードを使うことができ、窓口・ATMでかんたんにお金の出し入れができます。
また、利息もつきますし、10万円以上預け入れている状態なら、「通常貯金」よりも有利な利率が適用されるようになっています(2020年現在は、利率が通常貯金と同じ)。
通常貯金と違うことは、局員さんとのやり取りでお伝えした通りです。
- お給与の振込先に指定することができないこと
- 公共料金やクレジットカードの自動引き落としが利用できないこと
- 年金の受け取り先に指定することができないこと
一般振替口座
ここまで紹介した総合口座とは違う口座になります。
記号・番号が「0」から始まる口座がこれにあたります。
その名の通り 振替に特化した口座になっています。
通帳やキャッシュカードはありませんし、ATMを利用することもできません。
また、利息もつきません。
そのため、通常貯蓄口座と比べて、個人事業主にとっては不便だと言えるでしょう。
ただ、一つ、この口座を振込先にする方にとって、大きなメリットがあります。
これが先ほど言っていた「あること」です。
口座の名義を「屋号だけ」にできるということです。
では、3つの比較をまとめておきましょう。
通常貯金 | 通常貯蓄貯金 | 一般振替口座 | |
名義 | 個人名義 | 個人名義 | 屋号 または 個人名義 |
通帳 | 〇 | 〇 | × |
キャッシュカード | 〇 | 〇 | × |
利子・利息 | 〇 | 〇 | × |
ATM利用 | 〇 | 〇 | × |
窓口利用 | 〇 | 〇 | 〇 |
給与振込先 | 〇 | × | × |
公共料金支払 | 〇 | × | × |
年金受取先 | 〇 | × | × |
個人事業主なら「振替口座」
ゆうちょの振替口座は、名義を「屋号だけ」にできるということが 魅力的です。
ほかの金融機関でも、屋号の入った口座を開設することはできます。
しかし、「屋号だけ」という選択ができないのです。
ゆうちょ以外は、どうしても、個人名+屋号になってしまいます。
そのため、多くの個人事業主さんは、ゆうちょの「一般振替口座」を選ぶというわけです。
ゆうちょ2つ目の口座を開設
ということで、個人事業の開業届を税務署に提出した わたしは、振替口座を作りました。
郵便局を訪れてから40分後、お客さま控えをもらいました。
わたしが訪れたのは小さめの郵便局だったので、局員さんも手続きの仕方を把握されていない様子でした。
マニュアルを見たり、上司の方と相談したりしながら、一つずつ丁寧に対応してくださいました。
振替口座は通帳やキャッシュカードはない。ネットバンキングで送金する。
振替口座を開設するときの手順は次の通りです。
- 必要なものの用意
次の見出しにある「必要なもの」をそろえましょう。
- 郵便局の貯金窓口を訪問
大きい郵便局に行った方がスムーズです。
小さい郵便局を訪ねたとき、「事業用の口座?何それ?」と言われました。
「屋号で振替口座をつくりたい」と言えば伝わります。
- 身分と事業の証明
わたしは、運転免許証と開業届の控え、名刺を提示しました。
このうち、運転免許証と開業届の控えは写しをとらせてくれと言われました。 - 書類の記載
局員さんの言われるがままに、2種類の書類に記入・捺印しました。
〈1枚目〉
上の方に個人の氏名、住所、電話番号、生年月日を記入します。
真ん中あたりに振り込み金額を1000万円までで記入します。
その下に事業所名とフリガナを記入します。
そして、「別名を表示」というところにレ点でチェックします。
〈2枚目〉
個人の信用情報にかかわる書類でした。
局員さんによると、最近書かなければならなくなった書類とのことです。
別の書類なので、もう一度 個人の氏名、住所、電話番号を書きます。
その他、開設する口座を何に使うか(事業費決済とした)、振り込み金額はいくらか(10~50万円)、振り込み頻度(2,3週間に1回)、勤め先(他に勤め先がなければ個人事業主)を書きました。
最後に、一番下のところに署名して書き終えました。
- お客さま控えの受取
4.の書類を提出し終え、7分ほどすると、その場で口座番号の控えをもらえました。
窓口での手続きはこれで終わりです。
あとは、開設するのに5営業日ほどかかります。
家に帰り、郵便物を待ちましょう。
- 郵便物の届け先確認
わたしの場合は、翌週に郵便局から電話がありました。
内容は、郵便局側から送付する書類があるのだが、宛先が屋号だけでは届かないということでした。
そのため、「屋号+個人名(○○様 方)と表記して送りますね」という確認がありました。
- 開設の報告(郵便物)
届け先の宛名確認があってから、およそ1週間後、口座番号などがかかれた書類が家のポストに入っていました。
無事に振替口座を開設することができたということですね。
振替口座の開設に必要なもの
振替口座をつくる際に必要なのは、次の4つです。
- 身分証明書
運転免許証やパスポートなど写真があるもの
- 個人名の印鑑
シャチハタはNG
- 個人事業の開業届の控え
屋号が記入されており、税務署で処理済みのもの
- 名刺、ホームページを印刷したものなど
事業の実態が分かるもの
ポイントとしては、個人で利用契約を結ぶということです。
印鑑は、屋号が書かれたものではなく、個人名(名字が書かれたもの)を使います。
また、書類に開業日を記入する欄がありますが、開業日ではなく、自分の生年月日を記入します。
書類を書く際には、注意してください。
よく分からないところは、局員さんに質問してから書くのがいいでしょう。
間違えて訂正印を押さなければならなくなってしまいますからね。
屋号つき口座の使い勝手は…
正直なところ、振込にしか使えないため、いまひとつです。
通帳もキャッシュカードもないので、ATMを利用できませんからね。
残高や振込の確認は、すべて「ゆうちょダイレクト」で行います。
個人用の口座にお金を移動するときも「ゆうちょダイレクト」を使います。
こちらの方が便利だという方もいらっしゃるので、あくまでも、わたし個人の意見です。
ただ、料金を振り込む側の立場からすると、屋号のゆうちょ口座に振り込むため、信頼はできるようです。
事業として、きちんと成立しているんだな、と。
その点では、やはり「屋号だけ」のゆうちょ振替口座を開設してよかったなと思います。
振込用紙はタダでもらえる
わたしの場合は、郵便局の方に ていねいな説明をしていただきました。
そして、最後に「振込用紙請求書」という用紙までいただきました。
取引先の方に料金を振り込んでもらう際、金額と振込先を指定しますよね。
それらが書かれた用紙が振込用紙です。
振込用紙があれば、お相手の方が窓口やATMでかんたんに振り込むことができます。
しかも、振込用紙自体は無料なんです。
50枚1冊でもらえます。
郵便局に前もって必要な数を伝えておくだけで、用意しておいてくださいます。
また、有料にはなりますが、料金などの印字サービスもあります。
顧客ごとに金額が違うなど、料金を印字する必要がなければ、本当に無料でもらえます。
ただし、無料でもらえる振込用紙は、振込手数料をどちらが負担するかによって、2つに分けられています。
それは色によって区別されていて、「青色」が振り込む側(お客さま)が負担するもの、「赤色」が振り込まれる側(あなた)が負担するものになります。
ときどき「手数料はこちらが負担します。」と書いておきながら、「青色の振込用紙」を渡してしまう方がいらっしゃいます。
こうしたミスを防ぐためにも、知識を得ておかなければなりませんね。
わたしが訪れた郵便局の方がおっしゃるには、青色の振込用紙なら、いつも置いてあるとのことでした。
そのため、連絡がなくても、郵便局に取りに来てもらえればお渡しできますよと言ってくださいました。
本当に親切な方が対応してくださったので、事業初心者のわたしには、とてもありがたかったです。
その節は、ありがとうございました。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
あなた様の事業も成功しますように。