高校【文理選択】大切な3つのポイント

秋というシーズンは、高校1年生にとって、大切な時期です。

何といっても、人生を左右しかねない「文理選択」があるからです。

今回は、高校教員をしていたわたしが、文理選択のポイントをお伝えします。

 

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文系と理系を決める基準は?

文理の決め方は、次のようにさまざまです。

1.将来の進路(就職先)

2.大学を受験するときの科目

3.得意な科目のかたより

4.苦手な科目のかたより

5.先生や親が勧めてくれた

6.男子(女子)が多い(少ない)から

7.友だちが選んだから

8.なんとなく、直感で…

 

もっとも正当な理由は、上記の1.「就職先を考えて」2.「大学受験科目」です。

その次に参考になるのは、3.~5.です。

それ以外は、文理を決めるのに関係ありません。

 

ここではっきり言っておきます。

 

文理選択は、あなた自身で決めるものです。

 

そして、一度決めたら、高校を卒業するまで、そのままです。

さらに、将来の進路選択の幅も、この時点でほぼ決まると言っても過言ではありません。

文系なら文系のまま、理系なら理系のまま進むことになるのです。

 

だから、文系を選んだのにもかかわらず、途中で

「医者になりたい!」

と思っても手遅れなのです。

 

「時すでに遅し」と言われないように、将来のことも考えつつ、文理を選ぶことが大切です。

ぜひとも、将来を見据えつつ、じっくり考え、文理を選んでください。

 

文理選択をさせる学校側の事情

進学校の普通科では、1年生の10~11月には、文系か理系かを選ばなければなりません。

その頃、担任の先生は、生徒の文理希望の調査に大忙しです。

 

30分ほどしかない昼休みの時間を削ってまで生徒と面談したり、授業が終わってから定時を過ぎてまで面談したりするのです。

先生がヘトヘトになっても仕方ありません。

 

しかし、なぜ、文理選択のシーズンに 先生たちは忙しくなるのでしょう?

生徒の文理選択を 適切に判断しなければならないからなのでしょうか。

 

実は、学校の先生が表向きには言えない 事情が存在することが関係するからなのです。

ただし、学校によって文理選択の決め方は多少 異なるので、すべての学校でこの事情があてはまるわけではありません。

 

人数制限がある

学校は、クラス(ホームルーム)数に限りがあります。

学校によって違いますが、多くの場合は、6~9つに分けなければなりません。

さらに、ひとつの教室に40人程度を割り当てなければならないという制約もあります。

 

こうした制約のもと、1学年を文系と理系が半分程度になるようにクラス分けします。

たとえば、最大で9つのクラスに分けるとき、文系のクラスが5クラスならば、理系は4クラスになるということです。

 

有名大学に何十人も進学させているような進学校だと、理系クラスが多くなる傾向があります。

これに対して、「どの大学でもいいから、とりあえず進学を目指している」という進学校では、文系クラスが多くなる傾向があります。

 

さらに、現実的には難しい話ですが、文系と理系が混合になったクラスを1つだけつくるということもありえます。

 

しかし、多くの学校では、そのような文理混合クラスは、授業を展開しにくいのが実状です。

なぜ授業展開しにくいのか、学校側の理由は 次の通りです。

・文系と理系で行う授業の内容が違うから。

・それぞれの授業を同一の教室で行うことができないから。
 1つの授業で、2つの教室を使うことになり、教室の数が足りなくなってしまいます。

・非常勤講師や再任用教員を雇うことができないから。
 (金銭不足、先生不足のため。)

 

個人的な考えにはなりますが、日本は海外諸国に比べて半分ほどしか教育にお金を使っていないために、現場では人手不足に陥っていると考えられます。

さらには、生徒の要望に応えきれないという事態になっているのでしょう。

 

以上のような学校側の事情により、キリの良い数である、40の倍数に文理が分かれるように 調節する必要があるのです。

 

だから、担任の先生を中心に、

「文系のほうがいいよ」

「理系のほうがいいよ」

と、勧められることも しばしばあります。

 

そうして、学校の先生に勧められるまま、文系・理系を決めてしまう子もいるのが実状です。

 

カリキュラムの説明をしない

文系・理系で、授業にどのような差があるかご存知でしょうか?

イメージとして、文系は国語・英語・社会(歴史)の単位数が多く、理系は数学・理科の単位数が多いという特徴がありますね。

しかし、入学当初に配布されているはずの教育課程表(高校3年間で、どの授業を何単位取得できるかを示した表)をよくご覧ください。

 

「うーん…よく分からないなぁ…。」

そう思われて当然です。

だって、分かりにくいように作られているのですから。

 

学校側は、生徒や保護者の方に、このカリキュラム(教育課程)のくわしい説明をしません。

 

それには理由があります。

事実上、開講できない科目が載っているケースがあるからです。

もちろん、その科目を選択し、卒業要件さえ満たせば卒業できます。

しかし、開講されない科目を選んでも、単位の取得ができないことになり、履修不認定になってしまいます。

 

ここでは、「理系」を例に話を進めます。

ある進学校では、第1学年の時に物理基礎・生物基礎を履修させ、第2学年の時に 化学基礎を履修させています。

そして、それらの「基礎」がない科目3つ (物理・生物・化学) を、第2・3学年で履修しています。

 

もう少しくわしく、単位の話をしましょう。

物理基礎・生物基礎・化学基礎・地学基礎、いわゆる「基礎科目」は、標準で2単位の科目です。

つまり、週に2時間 授業があるイメージです。

 

これに対して、いわゆる「基礎なし科目」の物理・生物・化学・地学は、標準で4単位の科目です。

つまり、週に4時間 授業があるイメージです。

 

理系を選択したはいいのですが、一部の生徒にとっては、「理科」の負担が大きくなってしまいます。

そこで、この高校のカリキュラムを見てみると、「理科」が負担になりにくいカリキュラムも書かれているのです。

教育課程表の下の方に、小さな字で

「理科の基礎なし科目については、2科目または1科目を選択すること」

と書かれているのです。

 

つまり、

「理科の授業 多いし、基礎なし科目のうち、生物だけ選択しておけばいいや」

なんてことも、この高校ではOKなのです。

 

極端な例を紹介しましたが、大半の進学校は、基礎なし科目のうち、2科目はきちんと履修させています。

本当であれば、2科目の履修は、強制ではありません。

 

しかし、入試において、国公立の大学を受験する人には、基礎なし科目が2つ必要になるからこそ、2科目の履修を優先させているのです。

 

もし、2年生に進級して、基礎なし科目をひとつしか履修しなかったら、受験が成功することは難しくなると言えるでしょう。

このことを覚悟した上で、1科目選択型のカリキュラムを選らばなければなりません。

 

ただし、そうした選択が少人数の場合、多くの人が選択している方に強制されるのがほとんどです。

例のような高校の理系で言うと、たとえ、基礎なし1科目選択がよかったとしても、2科目選択にさせられる (強制) ということです。

 

学校側としては、少人数しか希望していないカリキュラムに従うことほど、煩わしいことはありません。

学校は、公平かつ平等に、生徒を扱わなければならない場所です。

そのため、一部の生徒だけに対応するというのは、難しいことなのです。

 

だから、たとえ希望していたとしても、そのカリキュラムを選択させてくれるかどうかは、学校次第ということです。

残念ながら、希望通りのカリキュラムに必ずなる というわけではないのです。

 

 

あなたの高校は どうですか?

高校は、こうした「単位を取得する」という観点から、小・中学校と大きく違います。

義務教育では、カリキュラム(教育課程)表を見たことがなかったから、これまで 敬遠していたことでしょう。

今一度、カリキュラム(教育課程)表を見て、自分の選択に幅があると言うことを知ってください。

本当であれば、どの学校でも、履修する科目を選べる部分があるはずなのです。

卒業に必要な科目・単位数だけは決まっていますが。

 

本当であれば、学校側は、こうした生徒の希望ひとつひとつに対応しなければならないと思います。

しかし、日常の業務量が多すぎて、授業をするので精一杯だという先生のなんと多いことか…。

国が教育にかける費用を今の諸国並み(現在の倍)に増やし、正規の教員を増員させることで、かなり改善されるように思います。

本当に多忙な中、先生方は、この仕事量をよくこなされていると感じます。

 

理系を選ばない方が幸せな生徒もいる

わたしのように、理数系の科目で授業したことがあると、

「この子はセンスがあるから理系に向いてるな」

「この子は文系タイプかな」

とだいたい分かります。

 

そうして、文理選択の時期が迫ってくると、

「この子は理系を希望しているけれど、ふだんの様子から見て、文系の方がいいんじゃないか」

というように考えます。

 

それを生徒に伝えても、なかなか考え方は変わりません。

保護者の方も、子どもが希望する類型に賛同されていることもあり、なおさらです。

 

しかし、いざ理系で授業を受けるようになると、考え方が変わるのです。

 

たいてい6・7月くらいになると、

やっぱり文系に変わりたいです…

と言ってくるのです。

 

(ほれみろ、言わんこっちゃない。)

そう心の中で、何度つぶやいたことか知れません。

 

また、心配していた理系選択の生徒が、数学や理科のテストで、赤点をとり、追認考査(追試)の対象になることもあります。

あなたが理系を選んだあと、どれほど強い気持ちで文系に変わりたくても(文転したくても)、今の学校を卒業する、または退学するまで、理系のカリキュラムのままなのです。

 

もう一度だけ言っておきます。

文系・理系を決めたあとの履修変更は、できません。

これは、どの高校にも共通しています。

学校側は、このことを何度も生徒に伝えています。

 

にもかかわらず、「知りませんでした」と言って、安易な気持ちで文理選択をしてしまう生徒の多いこと…。

先生方は、経験をもとにアドバイスしているのです。

わたしも、理系は、数学や理科が本当に大変だから、最後まで へこたれない強い気持ちが必要だと伝えてきました。

もちろん、途中で文系に変わることは、絶対にできないと伝えてきました。

そうして、最初から「文系」を選んだ生徒は、伸び伸びと勉学に励んでいました。

 

言うまでもありませんが、就職先が理系分野であるなら、迷わず理系を勧めます。

ただし、看護系を志望する生徒には、レベルに応じて文系選択を勧めることがあります。

看護系の仕事場も、人材不足に悩んでいます。

こうした問題点を解消するために、高校で文系選択だった生徒も、看護系大学を受験できる制度へと変わりました。

 

だから、たとえ基礎なしの「生物」の単位を取得していなくても、看護系の大学に進学できてしまうのです。

本来なら、より専門的な知識をもった、理系生物選択の高校生を採るべきだと思うのですがね。

理系の生徒を優遇することも視野に入れてほしいものです。

 

とにかく、看護志望の生徒をはじめ、理系を選ばない方が幸せな人生選択になることもあります。

 

理系から文系になら変われる?

よく耳にするのが、

理系から文系に変わることはできても、文系から理系に変わることはできない。

という話です。

 

これは、大学入試の受験科目の話をしています。

高校でのカリキュラムを変えられる、という意味ではありません

 

先ほどから申し上げているように、理系を選んだのであれば、受ける授業は、卒業するまで理系科目のままです。

 

ただし、大学受験の科目については別です。

 

 

わたしが大学受験生だったとき、ある同級生の2人は、理系から文系に受験科目を変えていました。

その子たちは、国語・英語・社会の授業が、明らかに文系の子より少なかったため、休み時間も必死で文系科目の勉強をしていました。

そうして聞いたことがあるのです。

「理系から文系に変われるの?」

と。

 

すると、

授業は、みんなと同じように受けなきゃ卒業できないから理系選択として受けているの。
 たとえば、地理の授業。
 
 でも、大学受験の科目は、その授業とは関係ない「倫理」で受けなきゃいけなくて・・・。
 大変だけど、第一志望校に行くには、これしかない!って分かったから、必死で勉強しているんだ。」

そんな話をしてくれました。

 

だから、その子も決して理系をあきらめたわけではないのです。

わたしと同じ年度にその子も卒業したので、ちゃんと必要のない理系科目の単位も取得したということです。

さらには、第一志望校に前期日程で受かっていました。

 

学校での勉強も、今後の進路も ともにあきらめない人が、最終的に成功していくのでしょうね。

 

最後に伝えておきたいこと

これは、あなたの人生です。しかも1度きりです。

だから、文理選択も、あなた自身で決めてください

 

なにも、相談するなとは言っていません。

ただ、決して 先生任せや親任せにしないでほしいのです。

高校で後悔しないように、よく考えて結論を出してください。

そして、選んだ結論に、最後まで責任をもってください

 

以上が、わたしから言える文理選択の極意です。

あなたの人生が 幸せであることを 心から祈っています。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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