【今すぐ防災袋の用意を】いざというときが来るから
南海トラフ地震は、数十年以内に、とても高い確率で起こると言われています。
地震は、いつ起こるのか分かりません。
それによる被害も影響も、起きないことには分かりません。
しかし、被害を想定し、それに備えることは誰でもできます。
今回は、阪神淡路大震災も、東日本大地震も経験した、わたしの防災袋とその中身を紹介します。
本当に防災袋は必要なのか
まず、防災袋を用意する意味をお伝えします。
防災袋は、地震が起き、ライフラインが途絶えてしまったとき、命をつなぎとめるために用意するものです。
「別に防災袋なんて、用意しなくてもいいや」
「きっと自衛隊とか警察とかがなんとかしてくれる」
と思っている人は、地震が起きたら死ぬつもりですか?
あるいは、罪を犯して、コンビニエンスストアや他人の住宅から物を盗むつもりですか?
マグニチュード8~9クラスの大地震が起きると、数日間はライフラインが機能しなくなると予想されています。
さらに、自衛隊などによる物資輸送は、被害状況が分かり始めてからでないと始まりません。
大地震が起きた場合、物資輸送が始まるまでに、最低5日はかかると推測されています。
この間、何もないあなたは生きられるでしょうか?
とてつもない不安に駆られることでしょう。
だから、自分のこととして、地震が起きたときのことを考え、今できる必要最大限の行動しておかなければならないのです。
それが、防災袋を用意することだったり、避難場所や避難経路を確認しておくことだったりするのです。
防災袋には「生きる希望」を詰めておく
防災袋は、地震が起きてから用意するようなものではありません。
また、地震が起きてからでは、十分な物資を確保することは難しくなります。
このことも頭に入れておきましょう。
そして、ライフラインが絶たれても、最低3日間は自力で生きていけるように、前もって、必須アイテムを用意しておくのです。
わたしが考えるに、防災袋とは、
生きる希望を詰めておく 命の袋
と言えます。
自分の命は、自分で守るしかない
先ほどもお伝えしましたが、「何もない状態のあなた」に比べて、「防災袋をちゃんと用意したあなた」は、生きられる可能性が格段に上がります。
地震が起きたら、自分の命は自分で守るしかないのです。
これは、東日本大震災で得た教訓です。
ある小学校の児童や先生たちが津波に巻きこまれ、亡くなられたニュースをご存知でしょうか。
わたしが考えるに、それは、「自分で自分の命を守る」という選択をしなかったことが関係していると思わざるをえません。
地震が起きたあと、その小学校の先生たちは、最初、避難することを考えたのです。
しかし、近隣の住民が避難してくるだろうから、だれかが対応しなければならないという話になります。
そうこうしているうちに、津波も近隣住民も押し寄せ、あのような悲劇を生んでしまったというのです。
もちろん、津波の被害を受けたのは、この小学校だけではありません。
しかし、津波の被害をまったく受けなかった中学校もありました。
その中学校で日ごろから言われていたのは、「自分の命は自分で守れ」ということです。
そのため、地震が起きたときも、生徒や先生一人一人が 自分の命だけを考え、行動したそうです。
その結果、だれ一人として津波に巻きこまれず、無事に高台へ避難できたそうです。
災害発生時、学校は緊急避難場所となります。
「学校は避難場所だろ?何とかしてくれ!」
そういった声も多く聞かれました。
しかし、ここでお伝えしたいのは、だれかに頼むのではなく、自分で何とかするということです。
そうしなければ、またあの小学校の悲劇をくり返すことになってしまいます。
学校にいる人も、そこに避難してくる人も、各自で自分の命を考えて行動すればよいだけなのです。
避難するときのポイント
大きく分けて3つあります。順番に見ていきましょう。
避難経路・避難場所が安全であること
自分の家が地震の影響を受けてしまったとき、より安全な場所に避難することがあります。
避難する前に、避難するまでの経路が安全かどうか判断していただきたいです。
たとえば、川を渡るための橋はいかがでしょうか。
崩れかけていたり、橋を支える脚が壊れていたりしませんか?
そうした場所があると、避難するのに時間がかかったり、ケガをしたりする原因になります。
もし、避難場所が決まっている場合は、その場所までの経路上で問題が発生しそうなところはないか、今一度、確認しておくことを勧めます。
また、避難場所として選ばれているのは、多くの公共施設です。
そうした公共施設は、地震に複数回 耐えられるように、耐震工事が行われています。
近年で耐震工事はかなり進んでいるものの、まだ取り残されている昔ながらの建物があります。
そうした耐震工事が終わっていない場所は、避難するには危険です。
きちんと、「避難場所」に指定されているところを選んで避難してくださいね。
避難時は、居場所が分かるようにする
よく問題になるのが、安否が分からないということです。
そうならないように、避難する場合には、家のドアに張り紙をしておくとよいでしょう。
「○月○日から△△中学校に、家族4人全員で避難しています。」
あるいは、携帯電話が使えるのなら、災害伝言ダイヤルを利用して、居場所と生存していることを残しておくこともできます。
災害伝言ダイヤルは、171です。「いない」で覚えておきましょう。
「171」にかけると、アナウンスが流れます。
アナウンスにしたがって、ダイヤルキーを押します。
録音する場合は、「1」をプッシュします。
その後、30秒間のメッセージを残すことができます。
両手が使える状態であること
避難するときは、両手が空いているかどうかも命に関わります。
わたしたちは、両手でバランスをとったり、転倒しそうになったときに手をさし出したりします。
もし、両手がふさがっている状態で余震や本震が起きたとき、バランスを崩してしまったり、転倒して重傷につながってしまったりします。
だから、防災袋も手に持つのではなく、手を使わないタイプにしましょう。
とくにおススメなのが、リュック型です。
(上の写真は、アイリスオーヤマが販売しているもの 2018.10.31現在)
防災袋に入れるべき物は なにか
もっとも迷うのが、ここです。
あれもこれも防災リュックに入れていては、きりがありませんし、避難するときに体力を奪う原因になりかねません。
できるだけコンパクトに、かつ、「命の袋」となるように考えて詰める必要があります。
しかし。なにを入れて、なにを入れなくてもいいのか わかりませんよね…。
そこで、今回は、本当に必要なものだけをまとめてみました。
ぜひ参考にしてください。
本当に必要なもの
- 現金(100円などの硬貨がよい)
- 印鑑・通帳(現金がなくなったときに使用)
- 保険証の写し
- 飲み水(目安:1日2L)
- 食料(とくに 炭水化物や甘いもの)
- 常備薬(とくに服用する必要があるもの)
- 情報が得られるもの(ラジオ、携帯電話)
- 手回し発電機・電池式充電器
- 携帯トイレ(目安:1日4~5回)
- ウェットティッシュ(体を拭くときも使用可能)
- マスク
- マウスウォッシュ(歯磨きの代わり)
- 下着(100円ショップに使い捨てのものが販売されている)
- 生理用品(大きめのほうが安心できる)
- ポリタンク(水の配給時に使用)
- 防寒具(毛布がよい)
- ガムテープ(手で切れ、重ねて貼れるタイプのもの)
- 油性マジック
あなたの命が犠牲になると悲しむ人がいる
ここまで、防災袋についてお伝えしてきました。
まだお伝えしていなかったことがあります。
あなたの命が犠牲になると、悲しむ人が必ずいる
ということです。
だから、あなたのためにも、まわりの大切な人のためにも、今すぐ「命の袋」を用意してください。
そうして、自分で自分の命を守ってください。
これが、あなたと、そのまわりにいる みなさんの笑顔につながると信じています。