ゾフルーザ【インフルエンザ】症状が悪化?
過去最大の猛威をふるっている インフルエンザウイルスA型――。
そんな わたしも、先日、インフルエンザウイルスに感染しました。
今シーズンから使用されている「ゾフルーザ」とは、一体何者なのでしょうか?
インフルエンザの特徴
38℃以上の高熱が出る
体のだるさとともに、高熱になるのがインフルエンザの特徴です。
熱が出るということは、体に備わっている免疫系が 一生懸命はたらいている証拠でもあります。
白血球・リンパ球を中心に、体内で増殖していくインフルエンザウイルスを排除しようとしているのです。
そのため、熱が出るのは、正常な反応です。
しかし、この高熱が体力を奪い、意識をもうろうとさせてしまうのも また事実です。
ただし、成人の中には、インフルエンザウイルスに感染しても、高熱が出ないかたもいらっしゃいます。
その割合は、一般的な成人だと約2割、ご高齢の方だと約5割にもなるそうです。
免疫系がうまくはたらかないと、熱が出ないこともあります。
だから、高熱が出ないからインフルエンザではない、という判断は、間違いかもしれません。
鼻よりも、喉にくる
インフルエンザの場合、喉に近いところがダメージを受けます。
そのため、鼻水よりも喉の痛みや咳がひどくなることが多いです。
悪化すると、咳が止まらず、呼吸がかなり苦しくなるという場合もあります。
わたしもそうでしたが、喉の奥で 痰がからみ、うまく空気を吸うことができないときがありました。
また、咳込んだ末、やっと排出できた痰は、濃い黄色のかたまりになっていました。
小さい子どもやご高齢の方だと、この痰をうまく処理できず、窒息にいたってしまうのだろうと感じました。
体の節々(関節)が痛い
わたしの場合は、体調不良の初日から脚の痛みが顕著でした。
猛烈に痛いというわけではなく、骨や筋肉がきしむような痛みです。
この痛みを感じ、インフルエンザだと確信を得ました。
しかも、この関節の痛みは、夜通し続き、よく眠れませんでした。
睡眠不足になってしまったことも、インフルエンザウイルスにとっては好都合だったのかもしれません。
インフルエンザウイルスの特徴
インフルエンザウイルスをはじめとする「ウイルス」は、生物ではありません。
高校の教科書にも「生物と無生物の中間的な存在」として載っています。
生物ではないとされる一つの理由は、ウイルスだけで増殖できないからです。
ウイルスが増殖するには、動物や植物などの「宿主」が必要となるのです。
いわゆる、寄生生活をするのがウイルスなのです。
インフルエンザウイルスは、遺伝物質としてRNA(リボ核酸)という物質をもっています。
実は、わたしたちも、日常的に体内でRNAをつくり出しています。
DNAを写し取ってつくられる物質がこのRNAなのです。
このようにDNAを写し取る過程を「転写」といいます。
転写で つくられたRNAは、さらにタンパク質の合成に利用されます。
また、RNA自体がさまざまな反応に関わっていることも知られています。
わたしたちヒトも、RNAという物質を利用しているからこそ、インフルエンザウイルスに感染してしまうのです。
インフルエンザウイルスは、自身の遺伝情報を、特殊な酵素(逆転写酵素)を使って、わたしたちのDNAに組み込んでくるのです。
早い話が、ウイルスRNAをDNAに変換して、それをヒトのDNAに入れ込んでしまうということです。
これをされるから、体の中で知らず知らずのうちに、ウイルスを大量生産してしまうことになるのです。
インフルエンザウイルスの弱点
予防接種
1度、インフルエンザウイルスの一部を体に取り込んでおくと、早く強くはたらく免疫を獲得することができます。
これを免疫記憶といいます。
ワクチンの接種により、リンパ球の一部が記憶細胞となり、インフルエンザウイルスの情報を保持したまま体内に存在してくれます。
そして、体内にインフルエンザウイルスが侵入すると、記憶細胞の本領発揮です。
すぐさまインフルエンザウイルスを排除しにかかるのです。
そのため、初めてインフルエンザにかかるよりも、早く回復する可能性が高まるのです。
インフルエンザワクチンは、およそ3,000円で注射することができます。
もし、身近に受験生がいたり、休んでいられなかったりするのであれば、予防接種を受けておいた方がインフルエンザになっても軽く済むでしょう。
湿度・水分補給
インフルエンザが冬季に流行するのは、空気が乾燥するからです。
水分を多く含む空気よりも、乾燥した空気のほうが、ウイルスが飛びやすいのです。
また、空気が乾燥するということは、わたしたちの喉や鼻も乾燥してしまいがちです。
インフルエンザウイルスは、そうした乾燥した喉や鼻の粘膜から侵食していきやすいものです。
湿度を上げることが難しければ、せめて、水分補給をこまめにするよう心がけてください。
そうして、喉や空気を乾燥させないようにするだけで、インフルエンザの予防につながるのです。
アルコール消毒
インフルエンザウイルスは、その構造上、アルコールに弱いという弱点があります。
これは、ノロウイルスなど一部のウイルスには効かない方法です。
ただ、インフルエンザウイルスにアルコール消毒は、有効です。
もちろん、石けんでよく手を洗い、清潔なタオルで水分を拭き取ってから行うのが、もっとも効果があると言われます。
ついでに、もうひとつ――。
わたしたちは、知らないうちに、手をさまざまなところへもって行きます。
たとえば、顔が挙げられます。
ウイルスが付いている手で、顔に触れたとしましょう。
すると、手だけをいくらアルコール消毒しても、また顔に触ってしまえばウイルスが手に付いてしまいます。
そうして、知らず知らずのうちに、手にも顔にも、インフルエンザウイルスを付けている可能性があるです。
以上のことは、お医者さんも意識して行っていらっしゃることです。
インフルエンザに対する薬の変化
昔から、インフルエンザは大流行をくり返し、ヒトの体の中で次々と変化を遂げてきました。
一時期、「タミフル」という薬が話題になりましたね。
わたしたちヒトは、インフルエンザウイルスに対抗するために、新薬の開発に力を入れてきました。
今では、ゾフルーザという薬を1回飲むだけで、ウイルスの増殖をくい止められると言われています。
ゾフルーザは、ウイルスが増殖するときに欠かせない酵素に はたらきかける薬です。
だから、増殖する前に飲むことが必要な薬です。
病院でもらうときも、薬剤師の方から「できるだけ早く飲んでくださいね」という説明を受けました。
実際に、48時間以内の服用が望ましいとされています。
インフルエンザウイルスの中には、このゾフルーザが効かないものもすでに1割ほど存在していますが、多くのインフルエンザウイルスには効果があると認められています。
ただし、今回、わたしがゾフルーザを飲んだとき、劇的に症状が回復したということはありませんでした。
それ以上に、ゾフルーザを飲んだ翌日は、起き上がれないほどのめまいに襲われました。
大人の免疫をもってしても、24時間 横になっていなければならないほどとは・・・。
もし、子どもがゾフルーザを飲んだとしたら、24時間では済まないかもしれませんね。
わたしたちの知らないところで、こうした新薬が研究・開発されています。
そして、わたしたちは、開発された得体のしれない薬を、飲むことになります。
その新薬の効果がなければ、また新たな薬が開発されます。
これは、いつまで続くのでしょうか。
新薬を開発してはまたウイルスが変異して効かなくなり、また新薬を開発しては変異して・・・。
ウイルスの変異との いたちごっこ に終わりはありません。
じきに、われわれヒトは、ウイルスに生命を脅かされるのではないでしょうか。
ウイルスによる脅威に備えるために、まずは、自分自身の免疫を高める努力をしましょう。