教採の質問テーマ【対応力】が求められる先生という仕事
5月下旬になり、そろそろ願書の提出が終わった頃でしょうか。
あとは、試験まで、あなたにできることをするだけですね。
そのような あなたに向けて、作文や面接のネタにもなる「先生に必要な3つの力」について、お伝えします。
順番に見ていきましょう。
相手に応じた対応力
相手に応じた対応は、どの社会人であっても、日常的に求められる力です。
ただし、先生をしていると、「相手」というのが多岐にわたる特徴があります。
その中でも 今回は、「子ども」「保護者」「地域の方々」の3者に限定してお話します。
くわしく ご覧になりたい方は、次の記事に書かせていただきました。
まずは、子どもを相手に対応するときに必要なことを考えてみましょう。
相手が子どもの場合、一部の先生は、子どもを小ばかにしたり、見下したりしがちです。
子どもに接するときは、子どもを一人の人間として認め、できることなら、尊敬のまなざしで見てあげてください。
そして、子どもが失敗しても、あながの広い心で受け止め、正しい方向へと導いてあげてください。
さらに、最近 問題視されているのが、障害をもっていなくても、それに類する子どもが増えてきたことです。
このことを踏まえ、子ども一人一人に 適切な対応が求められているのは事実です。
子ども一人一人のことをよく観察して、どのような接し方をすべきか、というところから考えていく必要があるのです。
次は、保護者の方の対応について、お伝えします。
実際の学校現場で、問題としてあがるのは、モンスターペアレントです。
実際に、わたしも経験がありますが、教員をつぶしにかかる保護者の方もいます。
世間では「モンスター」と言われているような保護者の方も、自分の子どもを大切に思っているからこそ、そのような行動をとるのです。
そうした保護者の方が大切にされている気持ちを察して、共感することさえできれば、ことは次第に収まっていきます。
また、子どもに一人一人違いがあるように、保護者の方一人一人にも違いがあります。
ただ、どの保護者の方であっても、共通しているのは「我が子を大切にしてほしい」ということです。
もし、保護者対応で迷うことがあれば、先生として「子どもを大切にするには、どうすべきか」を考えてみてください。
そうすれば、きっと 見えてくるものがあるはずです。
では、次に 地域の方々との対応について、お伝えしましょう。
学校や子どもたちにとって、地域の方々は、とても大切な存在です。
地域の方々なしに、学校教育は成り立ちません。
わたしは、そう考えます。
よく小学校の登下校時刻になると、地域の方々が交差点などに立ち、子どもたちの様子を見守っていてくださいます。
何か気になることがあれば、すぐに学校に連絡してくださるということもあります。
そのため、子どもだけでなく、先生にとっても、心強い味方でもあるのです。
その一方で、子どもが社会でのルールを守れていないときに、苦情の電話をかけてくださることがあります。
さらには、わざわざ 学校に足を運んで、管理職に直接 お話しされる方もいます。
そうした 地域の方々の対応をする場合は、それ以上、地域の方が不快な思いをされないようにすることに気を付けます。
情報を提供してくださったのであれば、その方に対して、時間をかけてくださっていることに感謝しましょう。
そして、ていねいに お詫びの気持ちを示すことが大切です。
まとめ
・「相手」が誰であっても、一人の人間として認め、共感する。
・「相手」が何を求めているのか、察知する。
・つねに、感謝の気持ちを忘れない。
緊急を要するときの対応力
子どもの命を守るために、もっとも大切な力です。
子どもが学校で生活しているとき、いつ、何が起こるか わかりません。
小学校で言うと、休み時間に転倒して ケガをすることは、日常茶飯事ですね。
そのほかにも、登下校中に 学校近くの交差点で事故が起きたり、持病の発作で子どもが倒れたりする場合もあります。
このとき、救急車の要請と、AEDを持ってきてもらうこと、心肺蘇生を行う必要があるかどうかを判断し、速やかに行動します。
先生を目指すあなたなら、対応できて 当たり前だと思っていてください。
この即座に判断する力も、行動する力も、緊急を要するときの対応力に含まれています。
学校の先生をしていると、何が起こるか 分からず、本当に怖いのですが、日ごろからイメージトレーニングしておくことが大切です。
では、教育実習のころを思い出してください。
あなたが研究授業をしているとき、突然、マグニチュード8クラスの地震が起きました。
あなたは、どのように行動したでしょうか。
こうしたことを、日ごろから考えておくのがイメージトレーニングです。
授業中だけではなく、職員室にいるときや、通勤途中のときなど、想定できそうな場面はいくらでもあります。
その いざというときに、迷わず、自分の命と 子どもの命を守れるよう、頭の中で練習しておくのです。
わたしが勤めていた学校で、体育の授業中に、突然 倒れた生徒がいました。
体育の授業は、お昼休みのあとでした。
このとき、何が原因だったと思いますか?
その生徒には、持病(学校に申告されていた病気)はありませんでした。
実は、倒れた原因は、食物アレルギーだったのです。
正式な名称は、「食物依存性 運動誘発アナフィラキシー」です。
アレルゲンを摂取したあとに、運動さえしなければ、アナフィラキシーショックを引き起こすことはない というものです。
この生徒は、今まで そのような状態になった経験がなく、アレルゲンだと認識していなかったそうです。
そのため、運動したらアレルゲンになってしまうものをお昼に食べ、体育に臨んだのです。
そして、運動し始めて、すぐに体の不調が出てきたため、先生にその旨を訴えました。
先生は、すぐ保健室に行くよう促したのですが、少しずつ意識レベルが下がり、生徒は倒れてしまったそうです。
こうした経験は、当事者でないと、ことの重大さ、恐怖を体感することができません。
しかし、先生全員で起きたことを共有して、イメージトレーニングすることはできます。
こうすることで、よりよい対応は何か考え、次の機会につなげることができます。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの事例のように、想定・経験していないことも 学校では起きます。
とくに、30年以内に80%の確率で起こるとされる 大地震のように、多くの人が経験していないことが起きると、人々はパニック状態になってしまいます。
そうすると、もっと大変な事態になってしまうかもしれません。
学校の先生は、公務員という一面もあります。
そうした大混乱に陥ってしまわぬように、いざというときに、自分がすべきことは何か、考えて生活しましょう。
まとめ
・子どもが倒れたら、「心肺蘇生・AED・救急車の要請」は 当たり前。
・日ごろからイメージトレーニングをし、いざという時の練習をする。
柔軟性が求められる対応力
先生は、真面目で、お固い人が多いです。
教育実習でも感じられますが、実際に教員になってみると、イヤになるほどです。
そのような固い人にならないためにも、考え方に柔軟性が必要なのです。
たとえば、とても忙しいときに、新たな仕事を押し付けられたとしましょう。
(こうしたことは、ふつうの民間企業でもあります。)
あなたは、どうしますか?
1.「忙しくて できない」と断る。
2.「忙しいけど やってみます」と引き受ける。
教員は、ほとんどの人が毎日忙しく働いています。
だからこそ、頼まれごとがあれば「やってみます」と引き受けるのがベストです。
忙しくても、ほかの仕事を整理し、時間の合間をぬって こなせば、形にはなります。
「忙しいからムリ」と断る人は、これから柔軟性を身につけていく必要があるでしょう。
また、学校という職場は、大手企業とは違います。
学校内では、まだ年功序列が はびこっていて、仕事を若手に押し付ける傾向があるからです。
もし、仕事を断ろうものなら、ベテランの先生からお叱りを受けるなんてこともしばしば・・・。
あるいは、裏でコソコソ陰口を叩かれるなんてこともありました。
だから、ベテランの先生から任される仕事を、スッと受け入れてしまう こころのゆとり が必要になっています。
先生方の多くは、「誰かが我慢すれば、誰かが苦しまずに済む」と思っている人が多いです。
そうした先生のように、柔軟に仕事ができる大人って、ステキですよね。
あなたも、教員になったら、少し我慢してみましょう。
もし、我慢の限界が近づいたら、主任や管理職の先生に相談すればいいのですから。
まとめ
・どんなに忙しくても、まずはやってみる。
・任される仕事を引き受けるために、心にゆとりをもつ。
最後に
ここまでは、わたしが一方的に考えを述べてきました。
次は、あなたの番です。
・あなたが考える教員に必要な「対応力」とは何ですか。
・あなただったら、その対応力を どのように伸ばしますか。
・学校全体で必要な対応力について、考えを述べてください。
など、自分なりに「対応力」について、まとめてみることをおススメします。
そして、教採に合格し、子どもたちのためにできることを 精一杯やりましょう。